第1種旅行業新規登録【手続解説】

第1種旅行業新規登録手続解説
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旅行会社として旅行に関する営業を始めるためには、旅行業の登録を受ける必要があります。
旅行業は、取り扱う業務によって第1種旅行業第2種旅行業第3種旅行業地域限定旅行業旅行業者代理業旅行サービス手配業に種類分けされています。

その中でも、海外の募集型企画旅行を取り扱おうと思うと、第1種旅行業の登録をしなければなりません。
第1種旅行業は旅行業に関するすべての手続の中でも、最も難易度の高いものとなります。

この記事では、その第1種旅行業登録の条件や具体的な申請手続、登録後営業を開始するまでに必要な手続について解説いたします。

この記事を読んで分かること

第1種旅行業の新規登録に必要な条件

第1種旅行業の新規登録手続

新規登録後、営業を開始するために必要な事前準備

目次

どんなときに第1種旅行業登録が必要か

前掲のとおり、旅行業登録にはいくつかの種類があります。
その違いは、どんな業務を取り扱うことができるか、です。

第1種旅行業登録は、簡単に言えば旅行業法上の全ての業務を行うことができる区分です。

海外募集型企画旅行 国内募集型企画旅行 受注型
企画旅行
手配旅行 旅行サービス
手配業務
相談業務
第1種
旅行業

特に一番の違いは、表の一番左側、海外募集型企画旅行を実施できるというところです。
これは、海外向けのパッケージツアーのことを指します。
事前にプランニングをして、参加者を募集して、海外旅行ツアーを実施するためには、第1種旅行業登録をする必要があります。

第1種旅行業の登録要件

人的要件

旅行業務取扱管理者の選任

旅行業の登録をするためには、旅行業務を取り扱う営業所に、旅行業務取扱管理者の資格を持った人を最低1人、選任する必要があります。
海外旅行を取り扱う場合は、総合旅行業務取扱管理者の選任が必要です。
海外旅行を取り扱わない場合は、総合または国内旅行業務取扱管理者の選任が必要です。

また、旅行業務に従事する従業員が10人以上の場合、選任管理者は2人以上必要です。

旅行業法には明確な規定はありませんが、旅行業務取扱管理者は一定の事項について、選任された営業所で「管理・監督」する義務があるため、専任・常勤であることが求められます。
ですので、複数営業所や他社との兼任、非常勤の方は管理者として選任することができません。

一方で、旅行業務取扱管理者の資格はもっていても、管理者としての業務を行わない場合には、兼任や非常勤として旅行業務に従事することが可能です。

登録拒否事由に該当しない

旅行業法第6条には、旅行業登録の申請があった際に、行政庁が登録の拒否をしなければならないとされる項目(登録拒否事由)が記載されています。
登録拒否事由には、過去に旅行業の取消をされてから5年経過していないことや、暴力団員といった内容が含まれています。

法人として旅行業登録の申請をする場合、法人の役員全員と営業所に選任する旅行業務取扱管理者が、登録拒否事由に該当していないことが必要です。

登録拒否事由の具体的な内容は、以下の記事にまとめてあります。

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金銭的要件

営業保証金の供託

旅行業の登録を受けると、一定の金額を営業保証金として国に供託する(預ける)必要があります。
これは、旅行者が取引をした旅行会社に万が一の場合があった際に、旅行者の保護を図るための制度です。

営業保証金の額は、旅行業の各登録種別ごとに、旅行者との取引金額を基準に設定されています。

第1種旅行業の場合、旅行者との年間取引金額が70億円未満までの場合は、営業保証金の金額は7000万円です。
また、第1種旅行業の場合は海外募集型企画旅行の取引額が8億円以上になると、さらに900万円を上乗せして供託することになります。

例えば、年間取引金額が60億円で、海外募集型企画旅行の取引額が1億円の場合、供託すべき営業保証金は7000万円です。
年間取引金額が60億円でも、海外募集型企画旅行の取引額が8億円の場合、7900万円を供託することになります。

営業保証金は一度供託したらおしまいではなく、毎事業年度終了後に行う取引額の報告で、旅行者との取引額が上下することで、納めるべき営業保証金の額も上下することになります。

弁済業務保証金分担金の納付

弁済業務保証金分担金は、前掲の営業保証金制度の一種です。
旅行業の営業をするに際して、旅行業協会に入会する場合は、営業保証金を国に供託することに代えて、旅行業協会に対して弁済業務保証金分担金を納付すれば良いということになっています。

営業保証金との大きな違いは、納付すべき金額の違いです。

営業保証金は、第1種旅行業登録の場合だと、最低でも7000万円と高額です。
しかし、旅行業協会に入会した場合の弁済業務保証金分担金は、供託すべき営業保証金の5分の1の金額で良いとされています。

つまり、最低でも1400万円を旅行業協会に対して納付をすれば、営業保証金の供託という義務を果たしたことになります。

基準資産額

旅行業登録を受けるためには、一定水準の財産的基礎を有している必要があります。
財産的基礎は、基準資産額とも言われます。

基準資産額は、旅行業の各登録種別ごとに金額が設定されています。
第1種旅行業の場合は、基準資産額3000万円と定められています。

基準資産額を満たしているかどうかは、直前決算期の貸借対照表をベースにして、以下の計算式から導くことができます。

資産の部の総額-②負債の部の総額ー③繰延資産ー④営業権ー⑤不良債権ー⑥営業保証金(または弁済業務保証金分担金)

会社を設立したばかりで、決算期をまだ迎えていない場合には、会社設立時の貸借対照表を作成して計算することになります。
一般的には、会社設立時は資本金額の全額を現金にて払い込むことで設立することになるので、この基準資産額を意識して資本金の額を決定すれば、基準資産額を満たした状態で会社設立をすることが可能です。

たとえば、旅行業協会に入会して第1種旅行業登録をする場合、弁済業務保証金分担金が1400万円、基準資産額は3000万円なので、4400万円の資本金で会社を設立すれば、基準資産額を満たすことになります。
また、資本金額の半分を資本準備金とする場合でも、第1種旅行業登録の基準資産額の計算上は問題ありませんので、資本金2200万円、資本準備金2200万円として会社設立をし、第1種旅行業登録の申請をすることも可能です。

資本金の額によって会社設立時の登録免許税が変わるため、資本準備金を活用して第1種旅行業登録をする事例もございます。

旅行業協会への入会

旅行業協会への入会は、完全任意です。
入会する旅行会社もあれば、入社しない旅行会社もあります。

ただ、第1種旅行業に限って言えば、旅行業協会へ入会するケースというのが非常に多くなります。
それは、やはり営業保証金の供託金額が5分の1になるというメリットが非常に大きいのだと思います。

また、協会への入会は旅行業の登録と同時に行わなくても大丈夫です。
最初は入会しないけど、旅行業登録を受けた後に入会するという方法も可能です。

旅行業協会にはJATA(日本旅行業協会)とANTA(全国旅行業協会)の2種類があるので、それぞれの違いについても簡単に触れておきます。

JATAに入会する場合

JATAに入会する場合、東京の本部に対して入会手続を行います。
入会申し込みは随時受け付けており、入会審査も申込に合わせて随時行われます。
審査は書面で行われ、不明点があればメールや電話にてJATAから連絡が来ます。
申込書類を揃えて提出後、おおむね2週間程度で入会確認書が発行されます。
協会への入会と同時に旅行業登録の申請をする場合は、この入会確認書のコピーも添付書類として提出します。

JATAの場合、入会金と年会費は登録種別に関係なく一律です。
2021年4月現在で入会金が80万円普通年会費が35万円特別会費が旅行業部門に従事する役員・従業員1人あたり600円です。

ANTAに入会する場合

ANTAに入会する場合、旅行業の主たる営業所のある都道府県ごとANTA支部に対して入会手続を行います。
支部ごとで取扱いは異なりますが、ANTAの入会審査は理事会が行われるタイミングで実施されており、おおむね2か月に1回程度です。
また、これも支部によっては異なりますが、入会審査には面接・面談が伴うことが一般的です。
入会審査の面談から約2週間程度で、入会承認書が発行されます。

ANTAの場合、登録種別ごとに入会金や年会費が異なります
参考までに、第1種旅行業のANTA入会金は2021年4月現在、225万円です。

必要書類の作成と収集

申請にあたっては、一般的には以下の書類が必要になります。

登録申請書
定款又は寄付行為
法人の登記事項証明書(登記簿謄本)
法人役員の欠格事由に該当しない旨の宣誓書
旅行業務に係る事業の計画
旅行業務に係る組織の概要
最近の事業年度における貸借対照表・損益計算書
最近の事業年度における決算書類に関する監査証明
監査証明が無い場合は、法人税の確定申告書の写し及び資産負債の明細書
監査証明が無い場合は、最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書について、公認会計士、監査法人、税理士又は税理士法人の確認を受けたことを証する書類
登録後すぐに旅行業協会の会員となる場合は、旅行業協会の発行する入会確認書又は入会承認書の写し
旅行業務取扱管理者選任一覧表
選任管理者の合格証又は認定証の写し
選任管理者の旅行業務取扱管理者定期研修修了証の写し
選任管理者が試験合格後5年経過しており、かつ定期研修を受講していない場合は、登録後速やかに定期研修を受講する旨の誓約書
選任管理者の履歴書
選任管理者の欠格事由に該当しない旨の宣誓書
事故処理体制に関する書面
標準旅行業約款

個別の事案によってはその他の書類も必要になることがありますが、おおむね上記の書類を提出することになります。

観光庁による事前ヒアリング

申請に必要な書類を一通り集めたら、観光庁へ連絡をします。
申請にあたって、まずは書類一式を確認して内容に問題が無いか、また実際の業務の内容などについて事前にヒアリングが行われます。

従前は、観光庁に出向いて対面でのヒアリングが実施されていましたが、新型コロナウイルスの流行拡大以降、事前ヒアリングは対面に加えてメールや、Web会議ツールなどでも実施されています。
各自の都合に合わせて選択すべきですが、本申請まで最短時間で進めたい場合は、やはり対面での事前ヒアリングがオススメです。

事前ヒアリングで、これまで用意してきた書類以外にも必要な書類を指示された場合には、それらの書類を用意します。

所轄行政庁への本申請

観光庁の事前ヒアリングで書類の内容に問題が無いということになると、今度は書類一式を管轄の申請先に提出することになります。
申請先は観光庁ではなく、主たる営業所の所在地を管轄する地方運輸局(沖縄の場合は総合事務局)となるので注意が必要です。

以下に、主たる営業所の所在地ごとに申請すべき行政庁を記載いたします。

申請先運輸局一覧

申請先 主たる営業所のある都道府県
北海道運輸局 北海道
東北運輸局 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東運輸局 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
北陸信越運輸局 新潟県、長野県、富山県、石川県
中部運輸局 愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県
近畿運輸局 大阪府、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県、兵庫県
中国運輸局 広島県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県
四国運輸局 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州運輸局 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
沖縄総合事務局 沖縄県

北海道で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を北海道に置く場合、北海道運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県に置く場合、東北運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県に置く場合、関東運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

新潟県、長野県、富山県、石川県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を新潟県、長野県、富山県、石川県に置く場合、北陸信越運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、福井県に置く場合、中部運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。
福井県は北陸信越運輸局ではなく中部運輸局の管轄になっているので、注意が必要です。

大阪府、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県、兵庫県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を大阪府、京都府、奈良県、滋賀県、和歌山県、兵庫県に置く場合、近畿運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

広島県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を広島県、鳥取県、島根県、岡山県、山口県に置く場合、中国運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

徳島県、香川県、愛媛県、高知県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を徳島県、香川県、愛媛県、高知県に置く場合、四国運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県に置く場合、九州運輸局の観光部観光企画課宛に本申請を行います。

沖縄県で第1種旅行業登録をする場合

主たる営業所を沖縄県に置く場合、沖縄総合事務局の運輸部企画室宛に本申請を行います。

登録通知受領後の手続

運輸局へ申請後、約2か月で観光庁から旅行業者登録名簿に登録された旨の連絡があります。
その後、管轄の運輸局を経由して、旅行業登録通知書旅行業者登録簿を受領することになります。
この登録簿と通知書は再発行されませんので、大事に保管するようにしてください。

また、通知書を受けったらそれでおしまいではなく、その後も営業開始に向けていくつかの手続があります。

登録免許税、営業保証金/弁済業務保証金分担金の納付

まず、お金関係の手続があります。

第1種旅行業は、新規登録時の登録免許税として9万円を支払うことになっています。
納付の方法は、登録通知書と一緒に登録免許税の支払用紙を渡されるので、所定事項を記入の上、郵便局の窓口で現金にて支払いをします。
その際郵便局で受け取る領収証書は、必ず受付印を押してあることを忘れずに確認してください。
そして、領収証書はその後提出することになりますので無くさないようにしてください。

また、登録免許税とは別に、営業保証金関係の支払があります。
旅行業協会に入会しない場合は、営業保証金を、主たる営業所を管轄する法務局へ供託します。
供託事務を行う法務局は限られているので、必ず事前に調べてから手続をするようにしてください。
基本的には、法務局の窓口て供託書に所定事項を記入して、法務局職員の指示に従って、営業保証金を供託することになります。
この際に交付される供託書は、その後コピーを提出することになり、また、取戻し手続等を行う際にも必要になるため無くさないようにしてください。

旅行業協会に入会する場合は、登録通知書と旅行業者登録簿の写しを旅行業協会へFAXやメールで提出します。
その内容を旅行業協会が確認後、弁済業務保証金分担金納付書を送付してきますので、協会の指示に従って弁済業務保証金分担金を納付します。
銀行窓口で納付をする場合は、納付書に銀行印をもらいます。
ATMやネットバンキングで振込にて納付をする場合は、銀行印は不要です。
手続き方法については、入会する旅行業協会の指示に従うようにしてください。

また、弁済業務保証金分担金納付書は行政提出用会員控え用の2枚あるはずなので、ご注意ください。

登録免許税領収書届出書、営業保証金の供託の届出/弁済業務保証金分担金の納付に関する届出

登録免許税と保証金関係の納付が済んだら、その旨を観光庁長官に届け出ます。
登録免許税を納付したことの届出書面と、営業保証金関係を納付したことの届出書面は、いずれも管轄運輸局から登録通知書等を受け取る際に、一緒に受け取ることができます。

登録免許税領収証書届出書には、登録免許税を納付した際に受け取った領収証書を用紙に貼り付けて、納付した日納付した金融機関名支店名も)を記載します。

営業保証金関係の届出には、営業保証金を供託した場合は供託書の写しを、弁済業務保証金分担金を納付した場合には弁済業務保証金分担金納付書の登録行政庁提出用を添付します。

これらの書類を、管轄の運輸局に提出することで、運輸局が観光庁長官へ届出をしてくれます。

なお、ここまでの手続を、登録の通知を受けた日から14日以内に行うことが必要です。
思った以上にタイトなスケジュールになるため、期限に注意をしながら手続を進めてください。

必要書類の掲示や備付

旅行業の営業を開始するためには、もう少し必要な準備があります。
ただ、ここまでくれば残りわずかですので、抜け漏れなく準備をしましょう。

標識(旅行業登録票)

旅行業者は、旅行業務を行う営業所の公衆の見やすいところに、標識を掲示しなければなりません。
この標識を旅行業登録票と呼びます。
登録票は、総合旅行業務取扱管理者を選任しているのかどうかで、色が変わります。
総合旅行業務取扱管理者を選任している営業所では、青色の登録票を掲示します。
総合管理者を選任していない、国内管理者を選任している営業所では白色の登録票を掲示します。

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旅行業務取扱料金表

登録票と同じく、営業所の旅行者の見やすいところに、旅行業務取扱料金表を掲示する義務があります。
旅行業務の取扱料金は、企画旅行以外の旅行業務について定めればOKです。

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旅行業約款

登録票と料金表だけでなく、旅行業約款についても営業所の旅行者の見やすいところに掲示、又は旅行者が閲覧することができるように備え置く必要があります。
旅行業約款は、原則的には観光庁長官の個別の認可を受ける必要がありますが、事前に策定されている標準旅行業約款を使用することで、この認可を受けたものとする制度になっています。
新規登録の段階では標準約款を使用することが一般的だとは思いますが、もし個別の約款認可を受けたい場合は、登録申請時に約款の個別認可申請をするようにしてください。

なお、標準旅行業約款よりも旅行者に不利になる内容への個別認可申請は、基本的には認可されませんのでご注意ください。

取引条件説明書面

旅行業者は、旅行者と旅行業務に関する契約をする際は、契約締結前に取引条件の説明をして、書面を交付する義務があります。
これを取引条件説明書面と呼びます。
取引条件説明書面は、実務上は複数の書類を組み合わせることで代替することができるとなっています。

たとえば、募集型企画旅行の場合はパンフレットを作成することが多いですが、そのパンフレットに記載した事項とと旅行業約款、そして旅行条件書を組み合わせて旅行者に公布をして、取引条件説明書面を交付したとすることが実務では一般的です。

なお、Web上で旅行契約を締結する場合など、書面の交付ではなくメールやPDFといった電磁的な方法で取引条件説明書面を交付したい場合は、事前に電磁的方法によって提供する旨の承諾を旅行者から取得しておく必要があるため、注意が必要です。

外務員証

旅行業者の営業所以外で、従業員等が旅行業務に関する取引をする場合、外務員の証明書を携帯し、取引時には必ず提示しなければなりません。
この証明書を外務員証と呼びます。

たとえば、社員旅行や出張旅行等の法人営業をしていて、営業先の顧客事務所で契約を締結するような場合が該当します。
営業所以外で旅行業務に関する取引をする場合には必ず外務員証が必要になるため、旅行業の登録通知を受けたらすぐに作成に取り掛かると良いです。

外務員証のひな形は、JATAのオンラインショップで無料ダウンロードすることが可能です。

旅行業務取扱管理者証

旅行業務取扱管理者は、旅行者から請求があった場合には証明書を提示しなければならない、と法律で定められています。
この証明書のことを、旅行業務取扱管理者証と呼びます。
外務員証と同じく、JATAのオンラインショップで無料ダウンロードすることができるので、すぐに準備をしましょう。

旅程管理業務を行う主任者証

いわゆる添乗員として旅行に添乗して、旅程管理をする場合には、その主任の者に対して旅程管理業務を行う主任者証を発行します。
添乗員を、日本添乗サービス協会等の添乗員派遣会社から派遣してもらう場合には、派遣会社が主任者証を発行していることが一般的です。

派遣会社が発行していない場合やフリーランスのツアーコンダクターを添乗員として契約する場合は、旅行会社側がこの証明書を発行します。

旅程管理業務を行う主任者になるためには、一定の実務経験が必要になるためご注意ください。

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ここまで準備を終えて、ようやく第1種旅行業としての営業を始めることができます。
営業開始するまでに多くの注意ポイントがあることをお分かりいただけたのではないかと思います。
行政書士TLA観光法務オフィスでは、こうした第1種旅行業の新規登録と営業開始のサポートをしております。
もし、そうしたサポートを受けてみたいという場合には、ぜひ一度ご相談いただければと思います。

ご相談いただく際には、お問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
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