旅行業Q&A

蔵元やワイナリーとのオンラインツアーには酒類販売免許が必要!?

オンラインツアーと酒類販売免許

旅行・観光と言えば飛行機や観光バス、電車などに乗って直接現地まで出向くのが一般的です。
しかし、自然災害や戦乱、感染症の流行といった理由で移動することが制限されてしまった場合、こうした旅行・観光ビジネスは成り立ちません。
そうすると、観光業界にはビジネスチャンスが無いのかというと、実はそうとも限りません。
現在は通信技術が発展して、いわゆるインターネットの回線速度も上がってきています。
そして、スマートフォンの普及などで、誰でもどこでもインターネットに繋がることができる世界が実現しています。
リアルの旅行がダメなのであれば、インターネットを使って、ということが考えられます。
いわゆるオンラインツアーですね。

オンラインツアーの中でも特に人気が高いのが、蔵元やワイナリーと連携した見学ツアーです。
リアルツアーでは体験することのできない、製造場の中まで見ることができたり、ツアー参加者に製造元の酒類が送られてきたりと、参加者にとって満足度が高いのが蔵元・ワイナリーツアーの特徴です。
今回は、こうした蔵元・ワイナリーツアーをする上で営業許可や免許が必要なのか?ということについて解説をしていきます。

オンラインツアーにどんな許認可が必要か

オンラインツアーと旅行業登録

まず、オンラインツアーに旅行業登録が必要なのかということについて考えてみます。
旅行業登録は、その名の通り、旅行業をする際に必要な許認可の種類です。
オンラインツアーも、ツアーと名前がついているくらいなので、当然旅行業の登録が必要かと思うと、実はそうでもなかったりします。

旅行業の登録が必要なのは、以下に該当する場合です。

  1. 宿泊施設・運送機関の手配・契約をする
  2. 旅行者の相談に応じて旅行の計画を作成する
  3. 上記①・②の行為を通じて報酬を得る

このようなときに初めて、旅行業の登録が必要となります。

では、オンラインツアーはどうかというと、①の宿泊施設や運送機関の手配・契約というのは基本的には発生しません
なぜなら、ツアー参加者が現地に行くことが無いからです。
②については、もしかしたらオンラインツアー中にそうした旅行の計画を作成するタイミングがあることは否定できませんが、こちらも基本的にはツアー中には発生しないことと思います。
ということであれば、オンラインツアーには旅行業登録は必要ないということになります。

バーチャルツアーやオンライン旅行に旅行業登録は必要か?人の移動が制限された世界では、これまでの観光旅行というものは、そのままでは成立しえないものとなってしまいます。 例えば自然災害や戦乱、...

後日利用可能な商品券や旅行券を配布する場合

オンラインツアーに参加してもらった人に対して、後日実際に来訪してもらうために、宿泊代金やお土産等の料金が割引になるような商品券や旅行券を配る場合には注意が必要です。

その商品券の使用期限が無期限or7か月以上先まで使えるもので、

  1. 商品券の発行者以外のお店でも使える
  2. 商品券の発行者自身のお店でしか使えないが、残高が1000万円を超える枚数を発行している

場合には、財務局への登録や届出が必要になります。

これらは資金決済法上の前払式支払手段で、①を第三者型発行、②を自家型発行といいます。

例えば、旅行会社が旅行券を発券して、旅行会社のツアー代金や提携施設の入場料・宿泊料の一部として旅行券を使用できるような場合には、①の第三者型発行前払式支払手段となります。
一方で、旅行会社が旅行券を発券して、旅行会社のツアー代金だけにその旅行券を使用できるような場合には、②の自家型発行前払式支払手段となります。

未開栓の酒類を取り扱う場合

これが今回のメインテーマです。
未開栓のお酒を取り扱う場合、そのビジネスモデルによっては酒類販売業免許の取得が必要になることがあります。
飲食店のように、開栓したお酒をグラスに注いで出す場合にはこの酒類販売業免許は不要です(ただし、飲食店の営業許可などが別に必要となります)。

この次は、この酒類販売業免許について、詳しく解説いたします。

酒類販売業免許とは

酒類の販売をする際に必要な免許

酒類販売業免許は、読んで字のごとく、お酒を販売する際に必要となる免許です。
お酒の販売の意味は、先述した通り、未開栓のお酒の提供です。

お酒の販売価格には酒税という税金が転嫁されていて、この酒税を適切に徴収するための仕組みとして、酒類販売業免許制度が導入されています。

酒類販売業免許の区分

酒類の免許は大きく分けると、製造免許販売業免許に分類することができます。
このうち、販売業免許はさらに小売業免許卸売業免許と別れていきます。
そして、小売業免許と卸売業免許の中にそれぞれ細かい区分があります。
また、この他、販売代理業免許販売媒介業免許の区分もあります。

小売業免許は、一般消費者や酒類を飲用のために提供する料飲店に対して酒類を販売する際に必要になる免許です。
卸売業免許は、小売業免許、卸売業免許、製造免許といった酒類に関する免許をもった事業者に対して販売する際に必要になる免許です。

一般的には、飲食店に販売することを「卸す」と言いますが、お酒の免許の世界では飲食店への販売=小売となるので注意が必要です。

ここでは、お酒の免許は小売、卸売といったいくつかの区分があるんだなということを理解していただければOKです。

蔵元・ワイナリーツアーのビジネスモデル

酒類販売業免許について事前知識を入れたところで、蔵元・ワイナリーツアーをオンラインで提供する際のビジネスモデルについて、いくつか例を挙げてみます。

ビジネスモデル①:酒類仕入型

まず1つ目のビジネスモデルは、以下のようなものです。

  1. 旅行会社が、蔵元・ワイナリーツアーを企画、募集する
  2. 参加者が、旅行会社に対してツアーの申し込みをする
  3. 参加者が、旅行会社に対してツアー代金を支払う
  4. 旅行会社が、蔵元・ワイナリーから酒類を仕入れる
  5. 旅行会社が、参加者に対して④で仕入れた酒類を発送する

ビジネスモデル②:酒類直送型

2つ目のビジネスモデルは、以下のとおりです。

  1. 旅行会社が、蔵元・ワイナリーツアーを企画、募集する
  2. 参加者が、旅行会社に対してツアーの申し込みをする
  3. 参加者が、旅行会社に対してツアー代金を支払う
  4. 蔵元・ワイナリーが、参加者に対して自社製造の酒類を発送する
  5. 旅行会社が、蔵元・ワイナリーに対して酒代や送料を支払う

ビジネスモデル③:広告・集客支援型

3つ目のビジネスモデルは、以下のとおりです。

  1. 酒蔵・ワイナリーが自らツアーを企画する
  2. 参加者のツアー申し込み、ツアー代金の支払い、酒類の発送も酒蔵・ワイナリーが対応する
  3. 旅行会社が告知、広報活動を行う
  4. 酒蔵・ワイナリーが、広告手数料を旅行会社に支払う

どのビジネスモデルでどんな免許が必要か

前項で提示した3つのビジネスモデルに対して、それぞれどんな免許が必要になるのかを考察します。

酒類仕入型の場合

1つ目のビジネスモデルは、旅行会社が一度酒類を仕入れてから、ツアー参加者に対してはそうするというビジネスモデルでした。

勘のいい方はお気付きかもしれませんが、こうしたビジネスモデルの場合には、小売業免許の取得が必要になります。
ツアー参加者は一般消費者であるといえるため、販売業免許の中でも小売りの区分が必要です。
細かい話をすると、基本的にはインターネットでツアー参加者を募り、参加者が住んでいる地域も都道府県全国に渡るため、小売業免許の中でも通信販売小売業免許を取得する必要があります。

酒類直送型の場合

2つ目のビジネスモデルは、ツアーの申込対応などは旅行会社が行いますが、酒類の発送対応などは酒蔵・ワイナリーが直接行うというものでした。

これについては、実際には酒類免許を取りまとめる税務署にて個別の調整が必要になりますが、酒類の販売媒介業免許が必要になる可能性が非常に高いです。
媒介業免許は、酒類を販売する事業者と購入したい消費者の間で酒類販売契約を成立させるために、両者の間を取り持つ場合に取得が必要になる免許で、一般的にはコールセンターなどが通販会社から受注業務をアウトソーシングとして受託した場合に、そのコールセンターで取得する必要があるものです。

今回の事例でいうと、酒類製造免許を持つ酒蔵・ワイナリーとツアー参加者の間で酒類販売契約が成立し、旅行会社はその間を取り持つ役割を果たしていると判断することになります。

もちろん、酒類販売契約は旅行会社とツアー参加者の間で成立していて、酒蔵・ワイナリーは直送という形で、商品の保管と発送業務の代行をしているに過ぎないという解釈も成り立つので、この場合には旅行会社はビジネスモデル①と同じ小売業免許の取得を検討することになります。

対応する税務署の担当者によっても解釈が異なることもあるため、最初にお伝えした通り、税務署などで詳細なビジネスモデルを説明した上で、事前に協議することが必要です。

広告・集客支援型の場合

ビジネスモデルの3つ目は、旅行会社はあくまでも広報等を行い、ツアー企画の主体はあくまでも酒蔵・ワイナリーというものでした。

この広告料モデルの場合は、旅行会社側で酒類の免許を取得する必要はありません

酒類販売免許を取るためには

オンラインツアーを実施する上で、酒類販売業免許が必要になることをお伝えしてきました。
ここでは、免許取得に必要な条件を簡単に整理してお伝えします。

通信販売酒類小売業免許を取得する場合

免許を取得するためには、大きく分けると

  1. 人に関する条件
  2. 場所に関する条件
  3. 経営の基礎に関する条件
  4. 需給調整条件

に分類することができます。

この中で特に注意が必要なのが、需給調整条件です。
通信販売酒類小売業免許の場合、販売できるお酒の種類が限定されています。
具体的には、酒類の各品目ごとに、前会計年度の年間出荷量が3000キロリットル以上のお酒がある製造業者のお酒は、販売できないとされています。
少しわかりづらいのですが、酒類の各品目というのは、ビール・発泡酒・清酒・果実酒といった、酒税法という法律上のお酒の分類です。

例えばビールと発泡酒と焼酎を製造している事業者がいて、ビールの年間出荷量が5000キロリットル、その他のお酒が1000キロリットルという場合には、ビールの出荷量が3000キロリットル以上なので、この事業者が製造するビールも発泡酒も焼酎も、通信販売酒類小売業免許では取り扱うことができない、ということになります。

ちなみに、ビールの大瓶が1本で約633ミリリットルなので、ビールの大瓶を年間473万9337本出荷すると、3000キロリットルを超える計算となります。
イメージが湧きづらいですが、とにかく3000キロリットルという量は非常に多い量で、一般的には大手メーカーが製造するような場合が当てはまります。

免許申請をする際に、販売する酒類の製造事業者から、3000キロリットルを超えていない証明書をもらう必要があるため、よく確認して商談を進める必要があります。

その他細かい条件については、以下の記事もご参照ください。

酒類販売媒介業免許を取得する場合

媒介業免許を取得する際には、

  1. 人に関する条件
  2. 場所に関する条件
  3. 経営の基礎に関する条件

がチェックポイントとなります。
①や②はおおむね他の免許と確認事項は大きく変わりませんが、③の経営の基礎について注意が必要です。

具体的には、経歴・経営能力等と取扱能力等について、審査時に確認されます。

経歴・経営能力等

法人として免許申請をする場合、その役員の中に酒類に関する知識及び記帳能力等が十分で独立して営業ができるものと認められ人がいる必要があります。
具体的には、

  1. 酒類の製造業又は販売業の業務に直接従事した期間が引続き10年(経営者として直接従事した場合は5年)
  2. 過去に、相当期間酒類の媒介業を経営したことがある
  3. 酒類の副産物、原料、醸造機械等の販売業の業務に直接従事した期間が引続き10年
  4. 酒類の醸造技術の指導等の経験を5年以上

というのが目安になります。
必ずしもどれかを満たしている必要は無いですが、非常にハードルが高いため、個別の事情に合わせて税務署の担当者にご相談されることをお勧めします。

取扱能力等

取扱量としては、年間平均取扱見込数量が100キロリットル以上かどうかが、1つの判断基準となります。

また、必要な設備として、事務所の設置や電話等の什器の配置が必要です。

まとめ

オンラインツアーに必要な許認可のまとめ

宿泊施設・運送機関の手配・契約が無ければ旅行業登録は不要

商品券を販売する場合は、前払式支払手段に該当しないかの確認をする

蔵元・ワイナリーツアーなどでお酒を配布する場合は、ビジネスモデルに応じた酒類販売免許が必要

今回は、特にお酒の販売免許について詳しく取り上げました。
実際には、各税務署の担当者によって細かい判断が異なるため、必ず事前に税務署へ事前相談されることをオススメいたします。

行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行会社の方向けに酒類販売免許の取得サポート・コンサルティングを行っております。
詳細なビジネスモデルなどをお伺いして事業計画をとりまとめて、税務署への事前相談から申請書類の作成、免許申請や事業開始後のサポートなども行っております。

もし、お酒の販売免許のことでお悩みの場合は、ぜひお問い合わせフォームよりご相談ください。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

お名前(ふりがな)
必須
メールアドレス
必須
電話番号
必須
お問合せ詳細
必須

記事をメールで購読

メールアドレスを登録して購読すれば、記事の更新通知をメールで受け取ることができます。