外国籍の人が旅行会社を始めるためにはどうしたらいいか?

外国籍の人が旅行会社を始めるためには
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昨今、外国籍の方が旅行会社を立ち上げるて起業するケースが増えています。
当事務所でも、そうした案件に数多く携わらせていただいております。
外国籍の方が旅行会社の立ち上げに関わる場合、日本国籍の人だけで旅行会社を立ち上げる場合と比べて注意すべきポイントがあります。
この記事では、外国籍の方が日本国内で旅行業を営む会社を立ち上げる際に注意すべきポイントについて解説いたします。

この記事を読んで分かること

外国籍の方が旅行会社を立ち上げる方法

外国籍の方が旅行会社を立ち上げる際の注意点

目次

日本人だけで旅行会社を立ち上げる場合

まずは、日本人の方が旅行会社を立ち上げる場合についておさらいしてみたいと思います。
こちらの記事の解説も参考にしてみてください。

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会社の設立

株式会社を設立する場合、
①定款の作成
②定款の認証
③資本金の払込
④登記申請
の順番で行います。

それぞれの手続で注意すべきポイントはあるものの、基本的には滞りなく進められるかと思います。

旅行業登録

旅行業登録については、
①人的要件
②資産要件
の2点がクリアできていればOKです。

①人的要件は、旅行業務取扱管理者の選任と、欠格事由に該当していないことが必要です。
②資産要件は、登録予定の旅行業種別ごとに基準資産額を満たしていることと、営業保証金の供託が必要です。

登録行政庁ごとに多少の違いはありますが、上記ポイントさえクリアできていれば旅行業登録は基本的に可能です。

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外国籍の方が旅行会社を立ち上げる場合

まずは日本人の方が旅行会社を立ち上げる場合について簡単におさらいしました。
次に、外国籍の方が旅行会社を立ち上げる場合について見ていきます。

基本的には在留資格が必要

外国籍の方が報酬を得て、日本国内で一定の活動を行う場合には在留資格というものが必要になります。
一般的にはビザと言われているものですが、正式名称は在留資格と呼びます。

この中で、外国籍の方が会社の経営を行うことができる在留資格は、
永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、
経営・管理、高度専門職(高度人材)
の6パターンが基本です。
これ以外の在留資格では会社を立ち上げることはできないと思って頂いても構いません。

永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者の場合

これらの在留資格の場合、会社設立から旅行業登録まで、手続は日本人の方が行うときと比べて違いは特にありません。
この4つの在留資格は身分系と呼ばれていて就労制限がないため、日本国内で自由に就労活動や経営活動を行うことができます。

ですので、この4つの在留資格をもって日本で暮らしている方は、前掲の旅行業登録条件をクリアすることができれば、旅行業登録をして、旅行会社の経営をすることが可能です。

経営・管理、高度専門職の場合

一方で、経営・管理、高度専門職の在留資格で旅行会社の立ち上げを行う場合には注意が必要です。

会社設立

外国籍の方が会社を設立して在留資格を取得するためには、下記のステップを踏む必要があります。

①定款作成
②定款認証
③資本金の払込
④登記申請
⑤事務所の契約
⑥許認可の取得

⑦在留資格の申請

③の資本金の払込は、日系銀行の日本国内支店、海外支店、海外銀行の日本国内支店に対して行えばOKとされていますが、一般的には日系銀行の日本国内支店に対して払込を行うことが多くなります。
そのため、日本国内に住所のある日本人や永住者などの国内協力者を確保して、その方の口座に払込みを行うことが一般的な対応方法です。

また、⑤の事務所の契約は、会社の設立そのものには必須ではありませんが、在留資格の経営・管理や高度専門職(この場合は1号ハ)を取得するためには必須条件となります。
そして、この事務所の契約が厄介で、日本に住所の無い方に対して賃貸契約を結んでくれる大家さんや不動産屋はまずありません
そこで、会社の設立をする際に、日本国内に住所のある日本人や永住者などの協力を得る必要があります。

会社設立時に日本国内の事務手続を行うための設立時代表取締役として協力者に入っていただき、会社設立後に事務所の法人契約などを行って頂きます。
法人用の銀行口座開設も、代表者住所が国内に無いと対応してくれないことが多いため、協力者にこうした事務手続も行って頂きます。

旅行業登録

旅行業登録については、外国籍の方であっても満たすべき条件は変わりません。
旅行業務取扱管理者試験は、受験資格に国籍などの制限も無いため外国籍の方でも受験可能です。ただし、ある程度日本語能力のあることが試験突破の前提条件にもなるため、この資格者の確保が一番難儀するかもしれません。

前項でも少し触れていますが、外国籍の方が許認可の必要な事業をする会社を設立して在留資格の申請をする場合、まず許認可を取得してから出ないと在留資格の許可が出ないため、こうした許認可手続きについても国内協力者に事務手続を進めてもらう必要があります。

在留資格が無くても旅行会社を経営できる!?

これまで、在留資格を取得すること前提で解説をしてきました。
しかし、実は在留資格を取得しないで旅行会社の立ち上げに関わることも可能です。
その方法とは、
会社の役員には就任せず、株主として参画する
というものです。

株主として会社に関与し、会社の利益から配当を受け取るだけであれば、在留資格の取得は必要ありません。
ですので、株主として資金出資だけして実際の事業運営は委託する、という方法も検討されてみてはいかがでしょうか。

外国籍の方の旅行会社立ち上げ時のまとめ

報酬を得て活動するためには在留資格が必要になる

事務手続を遂行するために国内協力者が必要になる

株主として配当を受け取るだけなら在留資格は不要

外国籍の方が日本国内で新しく旅行事業を立ち上げる際には、これまで説明してきたようにいくつかの注意点があります。
特に、手順に従って進める必要があるため、手続全体のグランドデザインを描いて、ひとつひとつの作業に落とし込んでいかないと、最終的には必要な許可などが取得できないということも十分に考えられます。
これは、まだ日本に住所の無い外国籍の方も、そうでない方も同様です。

行政書士TLA観光法務オフィスでは、外国籍の方の旅行会社立ち上げサポートの実績がございます。
これから旅行会社を立ち上げたいという方で、こうしたサポートを受けてみたいと思って頂けましたら、ぜひ問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

あなたからのご連絡をお待ちしております。

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