営業保証金や弁済業務保証金分担金は返還される?

営業保証金や弁済業務保証金分担金は返還される?
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営業保証金弁済業務保証金分担金は、旅行業の登録をして事業を継続していく上で必須のものです。
営業保証金は国の供託所(法務局)へ供託し、弁済業務保証金分担金は所属する旅行業協会へ納付します。
これらの保証金は、決して安くはない金額です。
この営業保証金や弁済業務保証金分担金って返還されるの?というのは、旅行会社を経営するみなさまにとって大きな関心事でしょう。

この記事では、旅行業協会へ新規加入脱退協会の所属換えをすることで保証金等はどうなるのか?返還されるのか?という疑問について解説をしております。

この記事の想定読者

  • 営業保証金の返還について知りたい方
  • 旅行業協会への加入を検討している方
  • 旅行業協会からの脱退を検討している方
  • 旅行業協会の変更を検討している方
目次

営業保証金と弁済業務保証金分担金についてのおさらい

まず、営業保証金と弁済業務保証金分担金についてのおさらいです。
返還のことを考える前に、まずは納付するタイミングについて思い出してみましょう。

営業保証金はどのタイミングで納付するのか

営業保証金は、すべての旅行会社が営業を開始するタイミングで納付する義務があります(旅行業法第7条)。
皆さんが旅行業の登録を受けたときのことを思い出してみてください。
旅行業の登録を受けてから14日以内に保証金を納付して、その証拠書類を登録行政庁に提出したのではないでしょうか?
もしよく覚えていなかったら、そういうものだと思ってください。

また、旅行会社は毎年事業年度終了後に取引額報告書を提出することになっています(旅行業法第10条)。
この報告書に記載した旅行者との取引額によって、納付すべき営業保証金が引き上げられたり引き下げられたりします(旅行業法第8条)。
もし保証金が引き上げられた場合には、事業年度が終了した次の日から100日以内に保証金を追加で納付して、登録行政庁に証拠書類を提出します(旅行業法第9条)。

ただし、旅行業協会に入会して旅行業登録を受ける場合は、この営業保証金に代えて弁済業務保証金分担金を納めれば良いとなっています(旅行業法第49条、第53条)。

弁済業務保証金分担金はどのタイミングで納付するのか

弁済業務保証金分担金の納付タイミングは、旅行業協会に加入しようとする日までに納めなければならないとされています(旅行業法第49条第1項第1号)。
実務的には、新規登録と同時に旅行業協会に加入する場合は、行政庁による旅行業の登録が行われた後に、旅行業協会が指定した期日までに協会に納付することになります。
既存の旅行会社で、新しく協会に加入する場合には、各協会の指示に従い納付します。
一般的には、入会審査が終わって旅行業協会から弁済業務保証金分担金納付書が送付されてきたら、指定期日に従って速やかに納付しなければなりません。

なお、事業年度終了後に追加で分担金を納付することになった場合は、保証金と同様に、事業年度が終了した次の日から100日以内に追加で納付をします(旅行業法第49条第2項)。

営業保証金や弁済業務保証金分担金は返還される

まず、おさらいということで営業保証金や弁済業務保証金分担金が納付されるタイミングを確認しました。

結論から言うと、この保証金や分担金はきちんと返還されます
ただし、すぐに返還される訳ではなく、一定の手順を踏む必要があります。

旅行業登録を受けて営業保証金を供託した後に旅行業協会に加入した場合で、営業保証金を弁済業務保証金分担金として移し替えたり、旅行業協会の所属を変更する際に一方の協会に納付した分担金をもう一方の協会に移し替えるということはできないため、その都度営業保証金や弁済業務保証金分担金を新しく納付した後に、既に納めていたものを返還してもらうという順番になります。

つまり、一時的にではありますが、二重に納付している状態となる訳です。

ケーススタディ:こんな時はどうなる?

旅行業協会に未加入だったが、新しく加入する場合

旅行業協会に未加入だった既存の旅行会社が、新しく協会に加入する場合は、非常にシンプルです。

①旅行業協会に加入する
②所属旅行業協会に弁済業務保証金分担金を納付する
③登録行政庁宛に弁済業務保証金分担金を納付した旨を届出する
④法務局に供託済の営業保証金を取戻す手続をする

上記のような流れになります。
当然、協会に加入する際には年会費や入会金もかかるため、費用負担はそれなりに大きいです。

②の旅行業協会に弁済業務保証金分担金を納付するタイミングは、先にもお伝えしたように、旅行業協会から納付書が送られてくるので、そこで指定された期日内に納付をします。

現在旅行業協会に加入しているが、協会を脱退する場合

協会に加入している旅行会社が協会を脱退して旅行業を継続する場合も、流れはシンプルです。

①旅行業協会に脱退する
②主たる営業所の所在地の最寄りの供託所に営業保証金を供託する
③登録行政庁宛に営業保証金を納付した旨を届出する
④所属していた旅行業協会に納付した弁済業務保証金分担金を取戻す手続をする

②で旅行業協会を脱退した後に営業保証金を供託所に供託して、③でその旨を届ける場合、協会を脱退した日から7日以内に供託から届出まで行わなければならないため、スケジュール管理には注意が必要です(旅行業法第54条第4項、第18条第3項)。

JATAとANTAの両方に加入をしたい場合

JATAとANTAに同時に加入することも可能です。
両協会に正会員として加入する場合、旅行業法上はいずれの協会に対しても分担金を納付しなければなりません。

ただし、JATAもANTAも正会員の他に協力会員や賛助会員という枠組を設けております。
協力会員や賛助会員であれば分担金の納付は必要ないため、もしどうしても2つの協会に加入したいという場合には、片方を正会員、もう片方を協力会員あるいは賛助会員として加入されることをオススメいたします。

保証金や分担金が返還されるまで

営業保証金や弁済業務保証金分担金が返還されるまでには、一定の手続をする必要があります。
旅行業協会に未加入の旅行会社と、協会に加入している旅行会社ではそのフローが若干異なります。
詳細については別の記事で解説しているので、そちらもご参照ください。

営業保証金や弁済業務保証金分担金の返還まとめ

  • 営業保証金や弁済業務保証金分担金は返還される
  • 旅行業協会の所属変えや加入・脱退をするときは、先に納めてその後返還
  • 営業保証金等の返還には最低でも6か月以上かかる

旅行業に関するお手続・事業の運営で、気になっていることはございませんか?

行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行業協会への加入手続サポートや、営業保証金・弁済業務保証金分担金の返還手続についてのサポートを行っております。

自社でやろうとしたが良く分らない等、もしサポートを受けたいという旅行会社さまがいらっしゃいましたら、下記お問い合わせフォームからご連絡いただければ幸いです。
あなたからのご連絡を、お待ちしております。

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