第1種旅行業から地域限定旅行業の「旅行業者」といわれる営業区分のうち、第2種旅行業の登録をしている会社は約3000社あります。
ここ10年ほどで、第1種旅行業者数が減少、第3種旅行業者数が横ばいなのに比べて、第2種旅行業者数は約200社ほど、微増しています。
第2種旅行業はある程度の資金力が要求されますが、第1種旅行業ほど大きな負担にはならず、国内の募集型企画旅行ができるということも当然影響しているでしょう。
第2種旅行業者には、バスや鉄道といった、国内運輸を担う事業者のインハウスカンパニーや、あるいは多角化事業としての旅行業登録。
また、生協や農協のような協同組合による事業の一環としての旅行業登録が多いのもその特徴です。
例えば、はとバスやJR東日本は第2種旅行業の登録をしています。
第2種旅行業の業務範囲
第2種旅行業の登録に必要な資金
その他登録に必要な条件や手続
業務範囲
第2種旅行業は、海外募集型企画旅行以外の旅行業務を行うことが可能です。
第3種旅行業や地域限定旅行業では取り扱うことができなかった、国内の募集型企画旅行を全国規模で実施できることが、大きな違いです
なお、第2種旅行業者であっても、他の旅行業者の企画旅行商品受託販売と、旅行相談、他の旅行業者からの依頼によるランドオペレーター業務についても行うことができます。
募集型企画旅行(海外) | 募集型企画旅行(国内) | 受注型企画旅行 | 手配旅行 | |
---|---|---|---|---|
第2種旅行業 | × | ○ | ○ | ○ |
基準資産額
基準資産額は、旅行業の登録をするために最低限必要な資産条件のことです。
現金化可能な資産がどれくらいあるのか、ということです。
基準資産額は旅行業の種別ごとに決められていて、第2種旅行業の場合は700万円です。
設立直後の法人であれば、資本金ー営業保証金=700万円以上になっていればOKです。
決算をしている会社は、貸借対照表の資産の部から創業費その他繰延資産、営業権や不良債権を控除して、負債の部の総額を控除して、さらに営業保証金額を引いた結果が700万円以上になっていればOKです。
基準資産額の計算方法については別の記事で詳しく解説をしています。

営業保証金
営業保証金は、旅行者保護を目的とした制度です。
旅行業者が営業に当たって一定の金額を国に供託し、旅行者はある旅行業者に債権がある場合は、供託金の中から弁済を受けることができる、という制度です。
第2種旅行業の営業保証金の最低限度額は、1100万円です。
営業保証金については別の記事で詳しく解説をしています。

登録拒否事由に該当していない
旅行業には、一定の事項に当てはまってしまうと登録を拒否される仕組みがあります。
具体的には下記の項目に1つでも当てはまっていると、旅行業の登録はできません。
- 旅行業等の登録を取消されて、取消しの日から5年を経過していない
- 禁固以上の刑、旅行業法違反による罰金の刑に処せられ、執行が終わって5年を経過していない
- 暴力団員でなくなった日から5年経過していない
- 申請前5年以内に旅行業務等に関して不正な行為をした
- 未成年者の法定代理人が①~④と⑦に該当する
- 心身の故障により業務を適正に遂行することができないまたは破産手続開始の決定を受けて復権をしていない
- 法人の役員が①~④と⑥に該当する
- 暴力団員等がその事業活動を支配している
- 営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任すると認められない
- 基準資産額を満たさない
旅行業務取扱管理者
どの管理者を選任すればいいか?
旅行業者は、旅行業務を行う営業所には必ず旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
旅行業務取扱管理者には①総合、②国内、③地域限定と3つの区分に分かれています。
旅行業務を行う営業所で、海外に関する旅行業務を取扱う場合は、必ず総合旅行業務取扱管理者の選任が必要です。
海外に関する旅行業務とは、海外受注型企画旅行と海外手配旅行です。
一方で、国内旅行しか取扱わないということであれば、総合管理者、国内管理者のどちらを選任しても問題ありません。
なお、旅行業務取扱管理者は営業所に最低1人の選任が必要ですが、旅行業務に従事する従業員が10人以上の営業所では、最低2人の選任が必要になるのでご注意ください。
登録拒否事由に該当しない
営業所に選任される旅行業務取扱管理者は、旅行業の登録拒否事由の①~⑥のいずれにも該当しないことが必要です。
第2種旅行業の登録手続
第2種旅行業の登録手続きの流れは下記のとおりです。
- 申請書類の準備
- 旅行業協会への入会申請(入会する場合)
- 審査後、入会確認書の受領
- 都道府県へ書類の提出
- 審査(審査期間は都道府県により異なる)
- 登録通知の受領
- 営業保証金の供託(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金の納付)
- 供託書の写しの提出(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金納付書の写し)
申請先
第2種旅行業登録の申請先は、主たる営業所のある都道府県です。
主たる営業所が東京都にあり、従たる営業所が北海道、大阪府にある場合でも、東京都に対して申請をすればよいことになります。
従たる営業所の数がどれだけ増えても、主たる営業所を変更せず、第2種旅行業である限り、申請先は変わりません。
必要書類(法人の場合)
第2種旅行業登録の新規申請に必要な書類は以下の通りです。
都道府県により差があるので、事前の確認が必要です。
- 申請書
- 定款又は寄付行為
- 登記事項証明書
- 旅行業務に係る事業の計画
- 航空券発券についての契約書の写し(新規は不要)
- 海外手配業者等との契約書の写し(新規は不要)
- 旅行業務に係る組織の概要
- 最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書
⇒設立後最初の決算が終了していない場合は、設立時の貸借対照表 - 公認会計士又は監査法人の財務監査を受けている場合はその監査証明書
⇒監査証明を受けていない場合は法人税の納税申告書の写しその他の資産および負債の明細を示す書類 - 欠格事由に該当しない旨の役員の宣誓書
- 選任予定の旅行業務取扱管理者の旅行業務取扱管理者試験合格証の写し
- 欠格事由に該当しない旨の管理者の宣誓書
- 管理者の履歴書
- 管理者が雇用予定の場合は、管理者の同意書
⇒他社から出向してくる場合は、同意書と出向契約書の写し - 事故処理体制についての書類
- 旅行業約款
- 旅行業協会の入会確認書(旅行業協会に入会する場合)
- 申請手数料
⇒都道府県により金額、支払タイミングは異なる - その他都道府県が定める書類
その他
都道府県によって、申請は事前予約制であったり、旅行業務取扱管理者の同行を求められたり、対応は千差万別です。
申請後、登録されるまでの処理期間も1週間で対応する自治体もあれば、1か月以上かかる自治体もあります。
ですが、基本的には、
必須の条件を整える⇒書類を集める⇒申請する
の流れで変わりません。
第2種旅行業まとめ
第2種旅行業についてまとめると、下記の表のとおりです。
海外募集型企画旅行 | 国内募集型企画旅行 | 受注型 企画旅行 |
手配旅行 | 基準資産額 | 営業保証金 | 登録行政庁 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第2種 旅行業 |
× | ○ | ○ | ○ | 700万円 | 1100万円~ | 都道府県 |
行政書士TLA観光法務オフィスでは、第2種旅行業の登録手続サポートをしております。
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