旅行業

地域限定旅行業の登録|必要な条件と手続

地域限定旅行業は、平成25年(2013年)4月1日に旅行業法施行規則の一部改正が施行されたことにより、新しく創設された旅行業の区分です。
それまで、旅行業を営むためには最低でも営業保証金と基準資産額が300万円ずつ必要な第3種旅行業の登録をするしかありませんでした。
しかし、金銭的なハードルが高いため、ごく限られたエリアで小規模に旅行業務を行いたい人のニーズを満たすことができませんでした。
そこで、取扱うことのできる旅行業務の範囲を限定する代わりに、旅行業への参入を容易にするべく導入された制度です。
当初は使い勝手の良くない種別でしたが、現在では様々な法改正も進み、登録手続きまでのハードルはだいぶ下がるようになりました。

この記事を読んで分かること

地域限定旅行業の業務範囲

地域限定旅行業の登録に必要な資金

その他登録に必要な条件や手続

業務範囲

地域限定旅行業では、業務の範囲が非常に限定されます。
海外募集型企画旅行は取扱うことができません。
国内募集型企画旅行、受注型企画旅行、手配旅行については、①地域限定旅行業者の営業所がある市町村、②その隣接する市町村、③観光庁長官が定める区域に限って、その業務を行うことができるのです。

なお、他の旅行業者の企画旅行商品受託販売と、旅行相談、他の旅行業者からの依頼によるランドオペレーター業務についても行うことができます。
ただし、①~③の区域を超える範囲でランドオペレーター業務をする場合には、旅行サービス手配業の登録を受ける必要があります。

募集型企画旅行(海外) 募集型企画旅行(国内) 受注型企画旅行 手配旅行
地域限定旅行業 ×

基準資産額

基準資産額は、旅行業の登録をするために最低限必要な資産条件のことです。
現金化可能な資産がどれくらいあるのか、ということです。
基準資産額は旅行業の種別ごとに決められていて、地域限定旅行業の場合は100万円です。

設立直後の法人であれば、資本金ー営業保証金=100万円以上になっていればOKです。
決算をしている会社は、貸借対照表の資産の部から創業費その他繰延資産、営業権や不良債権を控除して、負債の部の総額を控除して、さらに営業保証金額を引いた結果が100万円以上になっていればOKです。

旅行業登録に必須の基準資産額|確認方法と考察旅行業登録の条件の1つとして、金銭的な条件が設定されています。 具体的には、営業保証金の支払いと、基準資産額の充足という2つの要素に分...

営業保証金

営業保証金は、旅行者保護を目的とした制度です。
旅行業者が営業に当たって一定の金額を国に供託し、旅行者はある旅行業者に債権がある場合は、供託金の中から弁済を受けることができる、という制度です。

地域限定旅行業の区分が創設された当初は、営業保証金も基準資産額と同様に100万円でした。
しかし、地域限定旅行業の登録者数が増えない等、使い勝手の良くない制度であったため、平成30年(2018年)4月1日に施行された旅行業法施行規則の一部改正によって、旅行業務の取引額が400万円未満の場合は、営業保証金については従来の100万円から15万円に引き下げる措置が行われました。

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登録拒否事由に該当していない

旅行業には、一定の事項に当てはまってしまうと登録を拒否される仕組みがあります。
具体的には下記の項目に1つでも当てはまっていると、旅行業の登録はできません。

  1. 旅行業等の登録を取消されて、取消しの日から5年を経過していない
  2. 禁固以上の刑、旅行業法違反による罰金の刑に処せられ、執行が終わって5年を経過していない
  3. 暴力団員でなくなった日から5年経過していない
  4. 申請前5年以内に旅行業務等に関して不正な行為をした
  5. 未成年者の法定代理人が①~④と⑦に該当する
  6. 心身の故障により業務を適正に遂行することができないまたは破産手続開始の決定を受けて復権をしていない
  7. 法人の役員が①~④と⑥に該当する
  8. 暴力団員等がその事業活動を支配している
  9. 営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任すると認められない
  10. 基準資産額を満たさない

旅行業務取扱管理者

どの管理者を選任すればいいか?

旅行業者は、旅行業務を行う営業所には必ず旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
旅行業務取扱管理者には①総合、②国内、③地域限定と3つの区分に分かれています。
従来、旅行業務取扱管理者には総合(一般)管理者と国内管理者の2つの区分しかありませんでした。
地域限定管理者は、平成30年(2018年)1月4日に施行された改正旅行業法により、追加された管理者区分です。
国内管理者よりも試験問題を絞って、地域限定旅行業務を取扱う旅行業者が、旅行業務取扱管理者を選任しやすくするための緩和措置です。

地域限定旅行業務を行う営業所では、総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者のいずれの資格を持った人を選任しても良いことになっています。

地域限定旅行業だけの特例

通常、旅行業務取扱管理者は複数の営業所で兼任することは禁止されています。
しかし、
地域限定旅行業者で
複数営業所間の距離の合計が40km以下で
複数営業所の全事業年度の取引額の合計が1億円以下
の場合には、複数営業所であっても一人で兼任することができることになりました。

この緩和措置も、平成30年1月4日の旅行業法改正によるものです。

登録拒否事由に該当しない

営業所に選任される旅行業務取扱管理者は、旅行業の登録拒否事由の①~⑥のいずれにも該当しないことが必要です。

地域限定旅行業の登録手続

地域限定旅行業の登録手続きの流れは下記のとおりです。

  1. 申請書類の準備
  2. 旅行業協会への入会申請(入会する場合)
  3. 審査後、入会確認書の受領
  4. 都道府県へ書類の提出
  5. 審査(審査期間は都道府県により異なる)
  6. 登録通知の受領
  7. 営業保証金の供託(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金の納付)
  8. 供託書の写しの提出(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金納付書の写し)

申請先

地域限定旅行業登録の申請先は、主たる営業所のある都道府県です。
主たる営業所が東京都にあり、従たる営業所が神奈川県にある場合、東京都に対して申請をすればよいことになります。

必要書類(法人の場合)

地域限定旅行業登録の新規申請に必要な書類は以下の通りです。
都道府県により差があるので、事前の確認が必要です。

  1. 申請書
  2. 定款又は寄付行為
  3. 登記事項証明書
  4. 旅行業務に係る事業の計画
  5. 旅行業務に係る組織の概要
  6. 最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書
    ⇒設立後最初の決算が終了していない場合は、設立時の貸借対照表
  7. 公認会計士又は監査法人の財務監査を受けている場合はその監査証明書
    ⇒監査証明を受けていない場合は法人税の納税申告書の写しその他の資産および負債の明細を示す書類
  8. 欠格事由に該当しない旨の役員の宣誓書
  9. 選任予定の旅行業務取扱管理者の旅行業務取扱管理者試験合格証の写し
  10. 欠格事由に該当しない旨の管理者の宣誓書
  11. 管理者の履歴書
  12. 管理者が雇用予定の場合は、管理者の同意書
    ⇒他社から出向してくる場合は、同意書と出向契約書の写し
  13. 事故処理体制についての書類
  14. 旅行業約款
  15. 旅行業協会の入会確認書(旅行業協会に入会する場合)
  16. 申請手数料
    ⇒都道府県により金額、支払タイミングは異なる
  17. その他都道府県が定める書類

その他

都道府県によって、申請は事前予約制であったり、旅行業務取扱管理者の同行を求められたり、対応は千差万別です。
申請後、登録されるまでの処理期間も1週間で対応する自治体もあれば、1か月以上かかる自治体もあります。
ですが、基本的には、
必須の条件を整える⇒書類を集める⇒申請する
の流れで変わりません。

地域限定旅行業まとめ

地域限定旅行業についてまとめると、下記の表のとおりです。

海外募集型企画旅行 国内募集型企画旅行 受注型
企画旅行
手配旅行 基準資産額 営業保証金 登録行政庁
地域限定
旅行業
× 100万円 15万円~ 都道府県

 

行政書士TLA観光法務オフィスでは、地域限定旅行業の登録手続サポートをしております。
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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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