第3種旅行業は、全ての旅行業登録の中でも最も登録数が多い職務範囲の営業区分です。
地域限定旅行業の区分ができるまでは、もっとも少ない資本で旅行業登録ができる種別でした。
また、業務範囲も募集型企画旅行が実施できないこと以外は、受注型企画旅行も手配旅行も国内海外を問わず実施することができます。
- 第3種旅行業の業務範囲
- 第3種旅行業の登録に必要な資金
- 第3種旅行業の登録に必要なその他の条件や手続
第3種旅行業の業務範囲
第3種旅行業は、募集型企画旅行以外の旅行業務を行うことが可能です。
ただし、例外として国内募集型企画旅行については、以下の範囲に限って業務を行うことが可能です。
①地域限定旅行業者の営業所がある市町村
②営業所がある市町村に隣接する市町村
③観光庁長官が定める区域
平成19年(2007年)5月12日に旅行業法施行規則の一部改正が行われ、それまで扱うことができなかった募集型企画旅行について、このような条件付きで認められることになりました。
第3種旅行業者はこの他に、他の旅行業者の企画旅行商品の受託販売と、旅行相談、他の旅行業者からの依頼によるランドオペレーター業務についても行うことができます。
募集型企画旅行(海外) | 募集型企画旅行(国内) | 受注型企画旅行 | 手配旅行 | |
---|---|---|---|---|
第3種旅行業 | × | ※拠点区域のみ | ○ | ○ |
第3種旅行業の基準資産額
旅行業の登録をする上で、最低限必要な資産条件のことを基準資産額といいます。
おおよその意味としては、現金化可能な資産がどれくらいあるのか、ということです。
基準資産額は旅行業の登録種別ごとに決められていて、第3種旅行業の場合は300万円です。
基準資産額は、株式会社等の法人であれば、決算書の貸借対照表を使用して計算をします。
設立直後の法人の場合は、資本金ー営業保証金=100万円以上になっていればOKです。
一度でも決算を迎えている会社は、貸借対照表の資産の部から創業費その他繰延資産、営業権や不良債権を控除して、負債の部の総額を控除して、さらに営業保証金額を引いた結果が100万円以上になっていればOKです。
基準資産額の計算方法をさらに知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
第3種旅行業の営業保証金
営業保証金は、旅行者保護を目的とした制度です。
旅行会社が旅行業の営業をするうえで事前に一定の金額を国に預けることで、旅行者が旅行会社と旅行業務に関する取引をしたにもかかわらずサービスを受けられなかったような場合に、旅行会社が国に預けた金額の中から、サービスを受けることができなかった分についての債権を回収することができる、という制度です。
たとえば、旅行の申し込みをしたのに、旅行出発前に旅行会社が倒産してしまって、旅行に関するサービスの提供を受けることができなかったような場合に活用される制度です。
第3種旅行業の営業保証金の最低限度額は、300万円です。
旅行業界に加入することで、国に営業保証金を預ける代わりに、加入した旅行業界に対して、弁済業務保証金分担金という営業保証金の5分の1の金額を納付すれば良い制度もあります。
登録拒否事由に該当していない
旅行業には、一定の事項に当てはまってしまうと登録を拒否される仕組みがあります。
具体的には下記の項目に1つでも当てはまっていると、旅行業の登録はできません。
- 旅行業等の登録を取消されて、取消しの日から5年を経過していない
- 禁固以上の刑、旅行業法違反による罰金の刑に処せられ、執行が終わって5年を経過していない
- 暴力団員でなくなった日から5年経過していない
- 申請前5年以内に旅行業務等に関して不正な行為をした
- 未成年者の法定代理人が①~④と⑦に該当する
- 心身の故障により業務を適正に遂行することができないまたは破産手続開始の決定を受けて復権をしていない
- 法人の役員が①~④と⑥に該当する
- 暴力団員等がその事業活動を支配している
- 営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任すると認められない
- 基準資産額を満たさない
旅行業務取扱管理者の選任
どの管理者を選任すればいいか?
旅行会社は、旅行業務を行う営業所に旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。
旅行業務取扱管理者は、国家試験を受けて合格した人だけがなることのできる、国家資格です。
旅行業務取扱管理者は、①総合、②国内、③地域限定と3つの区分に分かれています。
旅行業務を行う営業所で、海外旅行を取扱う場合は、必ず総合旅行業務取扱管理者の選任が必要です。
一方で、国内旅行しか取扱わない場合は、総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者のどちらを選任しても問題ありません。
旅行業務取扱管理者は、営業所に最低1人選任すればOKですが、旅行業務に従事する職員が10人以上の営業所では、管理者を2人以上選任することとされています。
登録拒否事由に該当しない
営業所に選任される旅行業務取扱管理者は、旅行業の登録拒否事由の①~⑥のいずれにも該当しないことが必要です。
第3種旅行業の登録手続
第3種旅行業の登録手続の流れは下記のとおりです。
※旅行業協会に入会する場合
※都道府県によって、旅行業務取扱管理者の出頭が求められます
※審査にかかる期間は都道府県ごとに異なります
※旅行業協会に入会する場合は、旅行業協会に弁済業務補償金分担金の納付
※旅行業協会に入会する場合は、弁済業務補償金分担金納付書のコピー
申請先
第3種旅行業登録の申請先は、主たる営業所のある都道府県です。
主たる営業所が東京都にあり、従たる営業所が埼玉県にある場合、東京都に対して申請をすればよいことになります。
必要書類(法人の場合)
第3種旅行業登録の新規申請に必要な書類は以下の通りです。
都道府県により差があるので、事前の確認が必要です。
- 申請書
- 定款又は寄付行為
- 登記事項証明書
- 旅行業務に係る事業の計画
- 旅行業務に係る組織の概要
- 最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書
⇒設立後最初の決算が終了していない場合は、設立時の貸借対照表 - 公認会計士又は監査法人の財務監査を受けている場合はその監査証明書
⇒監査証明を受けていない場合は法人税の納税申告書の写しその他の資産および負債の明細を示す書類 - 欠格事由に該当しない旨の役員の宣誓書
- 選任予定の旅行業務取扱管理者の旅行業務取扱管理者試験合格証の写し
- 欠格事由に該当しない旨の管理者の宣誓書
- 管理者の履歴書
- 管理者が雇用予定の場合は、管理者の同意書
⇒他社から出向してくる場合は、同意書と出向契約書の写し - 事故処理体制についての書類
- 旅行業約款
- 旅行業協会の入会確認書(旅行業協会に入会する場合)
- 申請手数料
⇒都道府県により金額、支払タイミングは異なる - その他都道府県が定める書類
その他
都道府県によって、申請は事前予約制であったり、旅行業務取扱管理者の同行を求められたり、対応は千差万別です。
申請後、登録されるまでの処理期間も1週間で対応する自治体もあれば、1か月以上かかる自治体もあります。
ですが、基本的には、
必須の条件を整える⇒書類を集める⇒申請する
の流れで変わりません。
第3種旅行業まとめ
第3種旅行業についてまとめると、下記の表のとおりです。
海外募集型企画旅行 | 国内募集型企画旅行 | 受注型企画旅行 | 手配旅行 | 基準資産額 | 営業保証金 | 登録行政庁 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
第3種旅行業 | × | 拠点区域内 | ○ | ○ | 300万円 | 300万円〜 | 都道府県 |
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