旅行業法逐条解説

【旅行業法】第9条ー営業保証金の追加の供託等

旅行業法
第9条(営業保証金の追加の供託等)
旅行業者は、毎事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が前条第1項に規定する額に不足することとなるときは、その不足額を追加で供託しなければならない。

② 第7条第2項、第4項及び第5項の規定は、前項の規定により営業保証金を供託する場合について準用する。この場合において、同条第4項中「旅行業の登録をした場合において、登録の通知を受けた日から14日以内」とあるのは、「毎事業年度終了後において、その終了の日の翌日から100日以内」と読み替えるものとする。

③ 旅行業者は、毎事業年度終了後において、その供託している営業保証金の額が前条第1項に規定する額を超えることとなるときは、その超える額の営業保証金を取り戻すことができる。

④ 前条第5項の規定は、前項の規定により営業保証金を取り戻す場合について準用する。

⑤ 旅行業者は、第6条の4第1項の変更登録を受けた場合において、その供託している営業保証金の額が前条第1項に規定する額に不足することとなるときは、その不足額を追加して供託しなければならない。

⑥ 第7条第2項及び第3項の規定は、前項の規定により営業保証金を供託する場合について準用する。

⑦ 旅行業者は、第5項に規定する場合において、その供託している営業保証金の額が前条第1項に規定する額を超えることとなるときは、その超える額の営業保証金を取り戻すことができる。

⑧ 前項の規定による営業保証金の取戻しは、当該営業保証金につき第17条第1項の権利を有する者に対し6ヶ月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、その期間内にその申し出がなかった場合でなければ、これをすることができない。ただし、営業保証金を取り戻すことができる事由が発生した時から10年を経過したときは、この限りでない。

⑨ 前項の規定による公告その他営業保証金の取戻しに関し必要な事項は、法務省令・国土交通省令で定める。

趣旨

本条は、営業保証金の追加供託と取戻しが発生する場合について定めるとともに、その手続を定めたものです。
営業保証金の追加供託と取戻しが発生するのは、毎事業年度の取引額報告後と、業務範囲の変更登録を受けた後です。

毎事業年度終了ごとの営業保証金の額の見直し

営業保証金の額は毎事業年度終了後100日以内に登録行政庁に提出をする取引額報告書に記載された取引額に基づいて決定します。
したがって、この取引額報告書が提出され、そこに記載された取引額を基に算定される供託すべき営業保証金の額が、現在供託している営業保証金の額よりも上回ることになれば、追加で供託をする必要性が出てきます。
供託すべき営業保証金の額が、現在供託している営業保証金の額を下回った場合は、旅行業者が自ら手続をすることによって、超過分を取り戻すことが可能です。

取引額の報告と追加供託

旅行業者は毎事業年度が終了して100日以内に、登録行政庁に取引額報告書を提出する必要があります。
その取引額報告書に記載された取引額により、追加で営業保証金を供託しなければならない場合には、事業年度終了の日の翌日から100日以内に、追加の供託をしたうえで、追加供託をした旨を登録行政庁に届出する必要があります
期間内に供託をしない場合は、登録行政庁による供託を支払って届出をすべき旨の催告があり、その催告を受けたにもかかわらず、なおも供託をした旨の届出をしない場合には、登録行政庁は登録を取り消すことが可能となります。

取引額報告後の超過分の取戻し

旅行業者は、取引額報告書を提出した結果、供託した営業保証金について超過分が発生した場合には、一定の手続を踏むことで当該超過分を取り戻すことができます。
あくまでも、取り戻すことが「できる」旨の規定であるため、旅行業者が手続をしない限り、超過分を取り戻すことはできません

取引額報告書を提出した結果、超過した分の営業保証金の取戻し方法については、旅行業者営業保証金規則第8条で定められておりますが、概要は以下の通りです。

  • 取引額報告書を提出した日の属する事業年度内に限り、登録行政庁に対して、供託している営業保証金の額が供託すべき営業保証金の額を超えている旨及びその額の証明書の交付申請をすることができる
  • 旅行業者は、登録行政庁に対して、証明書交付申請書を提出することで当該申請を行う
  • 登録行政庁は、営業保証金について権利の実行の手続が取られている場合を除き、その証明書を交付しなければならない
  • 証明書の交付を受けた旅行業者は、営業保証金を供託した供託所に対して、供託物払渡請求書に当該証明書を添付して供託物払渡請求を行い、超過分の取戻しをする。ただし、当該証明書が交付された日の属する事業年度内に限り、添付書面としての効力を有する

権利の実行とは、旅行業者と旅行業務に関する取引をした旅行者が旅行業者に対して持っている債権について、旅行業者が供託している営業保証金の中から弁済を受ける行為のことをいいます。

変更登録を受けた後の営業保証金の追加供託と取り戻し

旅行業の業務の範囲を変更することを変更登録と言いますが、変更登録を受けたことによって旅行業の種別が変わることで、既に供託している営業保証金の額と新たに登録を受けた種別で供託すべき営業保証金の額に差が発生する可能性があります。
ここでも、新たに供託すべき営業保証金の額が、既に供託している営業保証金の額よりも上回る場合には差額分を追加で供託しなければなりません。
また、新たに供託すべき営業保証金の額が、既に供託している営業保証金の額よりも下回る場合には、旅行業者が自ら手続をすることによって、超過分を取り戻すことが可能です。

変更登録と追加供託

旅行業者が変更登録を受けた場合の供託すべき営業保証金の額は、変更登録申請時に提出をした旅行業務に係る事業の計画に記載をした取引額の予定額を基準に決定します。
このときに、供託すべき営業保証金の額が既に供託している営業保証金の額を上回る場合には、変更登録を受けて14日以内に追加で差額分の営業保証金を供託し、供託した旨を登録行政庁に届け出なければなりません
この届出を行わない場合には、登録行政庁による供託を支払って届出をすべき旨の催告があり、その催告を受けたにもかかわらず、なおも供託をした旨の届出をしない場合には、登録行政庁は登録を取り消すことが可能となります。

また、届出をしないで営業を開始した場合には100万円以下の罰金に処せられることにもなります。

変更登録後の超過分の取戻し

旅行業者は、変更登録を受けた結果、供託すべき営業保証金の額が既に供託している営業保証金の額を下回る場合には、一定の手続をすることで超過分を取り戻すことができます。
あくまでも、取り戻すことが「できる」旨の規定であるため、旅行業者が手続をしない限り、超過分を取り戻すことはできません

変更登録時の超過分を取り戻すためには、旅行業者に対して旅行業務に関する取引によって発生した債権を有している旅行者に対して、一定期間を定めて公告を行ってからでないと、取戻し手続を進めることができません
しかし、営業保証金を取り戻すことができる事由が発生してから10年経過した場合には、そうした公告手続をすることなく取戻し手続を進めることが可能です。
10年経過した場合には公告手続を不要とするのは、民法166条第1項第2号の「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき」に債権は消滅するとした消滅時効の規定に基づいていると思われます。

変更登録時の営業保証金の超過分取戻し手続については旅行業者営業保証金規則第9条で定められておりますが、概要は以下の通りです。

  • 旅行業者は、権利の実行の手続がとられていないときに、最低6ヶ月以上の期間を定めて所定事項を公告する
  • 旅行業者は、登録行政庁に対して公告した後速やかに、公告の写しを添付して、公告した旨の届出を行う
  • 登録行政庁は、債権者からの申し出が無い場合は旅行業者に対して、証明書を交付しなければならない
  • 証明書の交付を受けた旅行業者は、営業保証金を供託した供託所に対して、供託物払渡請求書に当該証明書を添付して供託物払渡請求を行い、超過分の取戻しをする
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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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