旅行業法逐条解説

【旅行業法】第11条の2ー旅行業務取扱管理者の選任

旅行業法
第11条の2(旅行業務取扱管理者の選任)
旅行業者又は旅行業者代理業者(以下「旅行業者等」という。)は、営業所ごとに、1人以上の第6項の規定に適合する旅行業務取扱管理者を選任して、当該営業所における旅行業務に関し、その取引に係る取引条件の明確性、旅行に関するサービス(運送等サービス及び運送等関連サービスをいう。以下同じ。)の提供の確実性その他取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な国土交通省令で定める事項についての管理及び監督に関する事務を行わなせなければならない。

② 旅行業者等は、その営業所の旅行業務取扱管理者として選任した者の全てが第6条第1項第1号から第6号までのいずれかに該当し、又は選任した者の全てが欠けるに至ったときは、新たに旅行業務取扱管理者を選任するまでの間は、その営業所において旅行業務に関する契約を締結してはならない。

③ 第1項の規定は、旅行業務を取り扱う者が1人である営業所についても適用があるものとする。

④ 旅行業務取扱管理者は、他の営業所の旅行業務取扱管理者となることができない

⑤ 第1項の規定により旅行業務取扱管理者を選任しなければならない営業者が複数ある場合において、当該複数の営業所が近接しているときとして国土交通省令で定めるときは、旅行業務取扱管理者は、前項の規定にかかわらず、その複数の営業所を通じて1人で足りる。ただし、当該旅行業務取扱管理者の事務負担が過重なものとなる場合その他の当該複数の営業所における旅行業務の適切な運営が確保されないおそれがある場合として国土交通省令で定める場合は、この限りではない

⑥ 旅行業務取扱管理者は、第6条第1項第1号から第6号までのいずれにも該当しない者で、次に掲げるものでなければならない、
一 本邦内の旅行のうち営業所の所在する市町村の区域その他の国土交通省令で定める地域内のもののみについて旅行業務を取り扱う営業所にあっては、次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験、国内旅行業務取扱管理者試験又は地域限定旅行業務取扱管理者試験(当該営業所の所在する地域に係るものに限る。)に合格した者
二 本邦内の旅行のみについて旅行業務を取り扱う営業所(前号の営業所を除く。)にあっては、次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験又は国内旅行業務取扱管理者試験に合格した者
三 前2号の営業所以外の営業所にあっては、次条の規定による総合旅行業務取扱管理者試験に合格した者

⑦ 旅行業者等は、旅行業務取扱管理者について、3年以上5年以内において国土交通省令で定める期間ごとに、旅行業務に関する法令、旅程管理その他の旅行業務取扱管理者の職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るため、第41条第2項に規定する旅行業協会が実施する研修を受けさせなければならない、

⑧ 観光庁長官は、旅行業者等が前項の規定を遵守していないと認めるときは、その者に対し、期限を定めて、必要な措置を取るべきことを勧告することができる。

⑨ 観光庁長官は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その者に対し、期限を定めて、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

⑩ 旅行業者等は、第7項に定めるもののほか、旅行業務取扱管理者について、苦情の解決に関する講習を受講させることその他の旅行業務取扱管理者の職務に関し必要な知識及び能力の向上を図るための措置を講ずるよう努めなければならない。

旅行業法施行規則
第10条(旅行業務取扱管理者の職務)
法第11条の2第1項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 旅行に関する計画の作成に関する事項
二 法第12条の規定による料金の掲示に関する事項
三 法第12条の2第3項の規定による旅行業約款の掲示及び備置きに関する事項
四 法第12条の4の規定による取引条件の説明に関する事項
五 法第12条の5の規定による書面の交付に関する事項
六 法第12条の7及び法第12条の8の規定による広告に関する事項
七 法第12条の10の規定による企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項
八 旅行に関する苦情の処理に関する事項
九 契約締結の年月日、契約の相手方その他の旅行者又は旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に係る重要な事項についての明確な記録又は関係書類の保管に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、取引の公正、旅行の安全及び旅行者の利便を確保するため必要な事項として観光庁長官が定める事項

第10条の2(法第11条の2第5項の国土交通省令で定めるとき)
法第11条の2第5項の国土交通省令で定めるときは、営業所間の距離の合計が40キロメートル以下のときとする。

第10条の3(法第11条の2第5項の国土交通省令で定める場合)
法第11条の2第5項の国土交通省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 法第11条の2第5項の規定に基づき複数の営業所を通じて1人の旅行業務取扱管理者を選任しようとする旅行業者等(旅行業者代理業者にあっては、その代理する旅行業者)の登録業務範囲が地域限定旅行業務以外のものである場合
二 当該複数の営業所の前事業年度における旅行業務に関する旅行者との取引の額の合計額が1億円を超える場合

第10条の4(営業所ごとの取引額の報告)
旅行業者等は法第11条の2第5項の規定に基づき複数の営業所を通じて1人の旅行業務取扱管理者を選任しようとするときは、あらかじめ、第7号様式の取引額報告書を登録行政庁に提出しなければならない

② 旅行業者等は、法第11条の2第5項の規定に基づき複数の営業所を通じて1人の旅行業務取扱管理者を選任した場合においては、毎事業年度終了後100日以内に、第7号様式の取引額報告書を登録行政庁に提出しなければならない。

第10条の5(法第11条の2第6項第1号の国土交通省令で定める地域)
法第11条の2第6項第1号の国土交通省令で定める地域は、拠点区域とする。

第10条の6(法第11条の2第7項の国土交通省令で定める期間)
法第11条の2第7項の国土交通省令で定める期間は、5年とする。

旅行業務取扱管理者制度の意義

旅行業法は第1条で、旅行業法が実現すべき目的として、
①旅行業務に関する取引の公正の維持
②旅行の安全の確保
③旅行者の利便の増進
という3つを掲げています。
その目的を達成するために、旅行業者等に対して各種の規制を実施し、少しでも消費者(旅行者)の保護を図ろうとしています。
そうした各種規制の実効性を上げるための手段として、旅行業務を取り扱う営業所に一定水準以上の法律や旅行実務に関する知識を持つ旅行業務取扱管理者を配置して、営業所で行われる旅行業務が法の規定に沿ったものになるように、管理監督を行います。

旅行業務取扱管理者の職務内容

旅行業務取扱管理者が行う職務は、旅行業務に関する一定事項の管理監督を行うことです。
詳細な内容は国土交通省令に委任をしていますが、その考え方としては、
①取引に関する取引条件の明確性
②旅行に関するサービスの提供の確実性
③取引の公正
④旅行の安全と旅行者の利便
を確保するために必要なものでなければなりません。

この考え方を受けて、国土交通省令では下記の9項目を具体的な職務として定めています。

旅行に関する計画の作成に関する事項
料金の掲示に関する事項
旅行業約款の掲示及び備置きに関する事項
取引条件の説明に関する事項
書面の交付に関する事項
広告に関する事項
企画旅行の円滑な実施のための措置に関する事項
旅行に関する苦情の処理に関する事項
⑨旅行者又は旅行に関するサービスを提供する者と締結した契約の内容に関する重要な事項についての明確な記録又は関係書類の保管に関する事項

しかし、いずれも旅行業務取扱管理者がそれぞれの業務を直接行わなければならないものではなく、あくまでも管理者としてこれらの業務を行う各スタッフの作業内容等を管理監督すれば良いということになります。

旅行業務取扱管理者が欠けた場合

営業所で旅行業務取扱管理者として選任した人が旅行業法第6条第1項第1号から第6号までのどれかに該当することになった場合、その人は営業所で選任すべき旅行業務取扱管理者としては不適格ということになります。
具体的には、旅行業務に関して不正を行った人や暴力団員、心身の故障がある人等が該当します。
その他、選任管理者が死亡することも含まれます。

こうした場合には、その営業所では、新しい旅行業務取扱管理者を選任するまで、旅行業務に関する契約を結ぶことができません
禁止されているのは旅行業務に関する契約の締結行為のみであるため、企画商品の造成や旅行者の募集等、その他の業務については引き続き継続することができます。

旅行業務取扱管理者の兼任

旅行業務取扱管理者は、選任された営業所において管理監督業務を行うことから、複数の営業所での兼任は禁止されています。
しかし、一定の条件に当てはまった場合のみ、複数営業所でも兼任することができます。

具体的には、
①営業所間の距離の合計が40キロメートル以下
②地域限定旅行業の登録を受けている
③複数営業所の前事業年度の旅行業務に関する旅行者との取引額の合計額が1億円以下
の条件に当てはまる場合には、同一人物が複数営業所の旅行業務取扱管理者を兼任することができます。

また、旅行業者等は複数の営業所で1人の管理者を選任しようとする場合は、事前に第7号様式による取引額報告書を登録行政庁に対して提出しなければなりません。
そして、事業年度終了後100日以内に、同様に第7号様式による取引額報告書を提出します。
なお、この場合であっても、全ての旅行業者が提出をする第6号様式による取引額報告書も、事業年度終了後100日以内に必ず登録行政庁に対して提出する必要があります。

営業所での取扱旅行業務と管理者の種類

旅行業務取扱管理者には、現在3種類の区分が存在します。
総合旅行業務取扱管理者、国内旅行業務取扱管理者、地域限定旅行業務取扱管理者の3種類です。
どの種類の旅行業務取扱管理者を選任すればいいのかは、その営業所でどのような旅行業務を取り扱うのかによって異なります。
具体的には下表のとおりです。

営業所で取り扱う旅行業務 選任すべき旅行業務取扱管理者
①海外募集型企画旅行 総合旅行業務取扱管理者
②海外募集型企画旅行以外の旅行業務で、
③を除く
国内旅行業務取扱管理者
③拠点区域のみ 地域限定旅行業務取扱管理者

拠点区域とは、旅行業者等の営業所のある市区町村、その隣接する市区町村、観光庁長官が定める地域のことをいいます。
詳細については別に記事を書いておりますので、ご参考にしてみてください。

【告示】旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官の定める区域【旅行業】旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官の定める区域 (平成19年4月2日 国土交通省告示第445号) 旅行業法...

旅行業務取扱管理者に研修を受講させる義務

2005年施行の旅行業法改正で、旅行業者等は旅行業協会が実施する研修を旅行業務取扱管理者に受けさせて、職務に必要な知識や能力の向上を図るように努めなければならないとする努力義務規定が新設されました。
2018年施行の旅行業法改正では、さらに発展して旅行会社は自社で選任する旅行業務取扱管理者に、5年に1度研修を受けさせることが義務化されました。

2018年の旅行業法改正では、地域限定旅行業務取扱管理者という、新たな管理者区分が新設されました。
地域限定旅行業務取扱管理者になるための試験は、観光庁が実施する管理者試験に合格することが必要ですが、従来の総合・国内管理者試験よりも試験範囲が限定されることで、より試験合格への門戸が開かれる形となっています。
また、地域限定管理者に限っては、一定の条件を満たすことで複数営業所で兼任することができることについては、既にご説明した通りです。

このような規制緩和に際して、より旅行業務取扱管理者の知識や能力向上を担保し、これまで努力義務となっていた研修を定期的に実施することで、その実効性を高めていくために、研修受講を義務とする改正が行われました。

研修受講が義務となったことで、旅行業の登録を既に受けていてその登録期間の更新をする場合や、登録種別を変更する場合には、研修を受講したことを証する修了証を登録行政庁に提出しなければ、更新や登録種別の変更をすることができなくなりました。

新規登録の場合は、新規登録のための申請日から5年以上昔に旅行業務取扱管理者試験に合格した人を選任する場合には、旅行業登録を受けた後に速やかに研修受講をすることを誓約する書面を提出しなければなりません。
また、研修受講後は速やかに登録行政庁に対して、研修の修了証を提出します。

罰則

本条の規定に違反した場合には、罰則が規定されています。

①営業所に旅行業務取扱管理者を選任しなかった場合
②旅行業務取扱管理者が欠けた営業所で、新たに管理者を選任するまでの間に当該営業所で旅行業務に関する契約を締結した場合
③旅行業務取扱管理者に定期研修を受講させていない事業者に対して措置勧告と措置命令を行い、当該命令に従わなかった場合

こうした場合には、30万円以下の罰金に処せられます。
また、行為者だけでなく法人にも処罰があります。
その他、旅行業登録の取消対象にもなります。

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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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