旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官の定める区域

旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官の定める区域
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旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官の定める区域
(平成19年4月2日 国土交通省告示第445号)

旅行業法施行規則第1条の3第3号の規定に基づき観光庁長官が定める区域は、次に掲げる区域とする。

一 海上運送法による一般旅客定期航路事業のために運航される船舶が、同号に規定する営業所の存する市町村(特別区を含む。)の港を出港した後、初めて入港する港の存する市町村の区域。ただし、これらの市町村の区域が、ともに本土(本州、北海道、四国、九州及び沖縄の本島をいう。)に存するときは、次に掲げる要件のいずれかに該当する場合に限る。

イ 双方の市町村の区域が同一都道府県の区域内又は隣接する都道府県の区域内に存し、かつ、いずれかの市町村の区域が半島振興法第2条第1項の規定により指定された半島振興対策実施地域に存すること。

ロ 双方の市町村の区域が次に掲げるもののいずれかに該当すること。
(1)愛媛県松山市及び山口県大島郡周防大島町
(2)愛媛県松山市及び山口県柳井市
(3)愛媛県西宇和郡伊方町及び大分県大分市
(4)愛媛県八幡浜市及び大分県別府市
(5)愛媛県八幡浜市及び大分県臼杵市
(6)高知県宿毛市及び大分県佐伯市
(7)山口県周南市及び大分県国東市
(8)福岡県大牟田市及び長崎県島原市
(9)長崎県雲仙氏及び熊本県玉名郡長洲町
(10)長崎県島原市及び熊本県熊本市
(11)長崎県南島原市及び熊本県天草市
(12)長崎県長崎市及び熊本県天草郡苓北町

二 地域内及び地域間の交流の促進に資する国内交通網及び輸送に関する拠点(交通拠点という。)の存する市町村(特別区を含む。)の区域。ただし、次に掲げる要件のいずれかに該当する場合に限る。

イ 旅行の発地が交通拠点の存する市町村の区域内にあり、かつ、当該旅行の目的地が自らの営業所の存する市町村の区域又はこれらに隣接する市町村の区域内のみにあること。

ロ 旅行の発地が自らの営業所の存する市町村の区域又はこれらに隣接する市町村の区域内にあり、かつ、当該旅行の目的地が交通拠点の存する市町村の区域内のみにあること。

観光庁長官の定める区域の意味

観光庁長官の定める区域とは、旅行業の登録種別ごとの業務範囲を定めた旅行業法施行規則第1条の3第3号に出てくる文言です。
第3種旅行業と地域限定旅行業の業務範囲を理解する上で、非常に重要です。

第3種旅行業者は、

営業所のある市町村の区域
②これに隣接する市町村の区域
観光庁長官の定める区域

募集型企画旅行を実施することができるとしています。
地域限定旅行業についても同じような規定があります。

この前提を理解したうえで、少し深堀していきます。

定期旅客船が出発後、最初に入港する港のある市町村の区域

告示第一号は、定期旅客船が、旅行業者の営業所がある市町村から出発した後に最初に入港する港のある市町村の区域であれば、観光庁長官の定める区域に該当するため、第3種旅行業や地域限定旅行業でも募集型企画旅行等の実施ができるという趣旨です。

これは具体的なケースで説明すると、東京都にはいくつかの客船ターミナルがありますが、港区の竹芝客船ターミナルからは、伊豆諸島や小笠原諸島の島に定期便が出ています。
港区に営業所がある第3種旅行業者等は、竹芝客船ターミナルから出発する離島行きの定期旅客船を使用する募集型企画旅行を実施することができる、という意味です。

営業所のある市町村から出発して最初に入港する港のある市町村の区域に限定されるので、竹芝桟橋(港区)を出発して大島(大島町)へ行き、そこから式根島(新島村)、神津島(神津島村)と経由するような定期旅客船があったとしても、全ての島をめぐるツアーは実施できません。
あくまでも、最初に入港する港のある市町村、ということです。
もっとわかりやすく言えば、直行便が出ているところならOKです。

上記の例をもう少し具体的にすると、

  1. 竹芝客船ターミナル(港区)⇒三宅島(三宅村)⇒御蔵島(御蔵島村)⇒八丈島(八丈町)
  2. 竹芝客船ターミナル(港区)⇒父島(小笠原村)
  3. 竹芝客船ターミナル(港区)⇒横浜大さん橋(横浜市)⇒大島⇒利島⇒新島⇒式根島⇒神津島

という航行ルートがあった場合、観光庁長官の定める区域として認められるのは、①は三宅島、②は父島、③は無し、となります。
したがって、①の場合は御蔵島、八丈島を第3種旅行業の募集型企画旅行、地域限定旅行業の各種旅行業務の範囲内として加えることはできません。

営業所がある市町村も旅客船が最初に入港する港がある市町村も本土の場合

告示第一号のただし書きでは、営業所がある市町村も定期旅客船が最初に入港する港がある市町村も、本土(本州・北海道・四国・九州・沖縄本島)にある場合には、さらに追加の告示第一号イまたはロのどちらかに当てはまっている場合のみ、この観光庁長官の定める区域に該当するということになります。

半島振興法の指定地域であること(告示第一号イ)

以下の①・②の両方に該当する場合は、官庁庁長官の定める区域として認められます。

  1. 双方の市町村が同じ都道府県内か、隣接する都道府県内にある
  2. どちらかの地域が半島振興法の指定地域内にある

半島振興法で指定されている地域は全部で23地域です。
23地域の中には22都道府県、194市町村が含まれています。
具体的には下記のとおりです。

①渡島(北海道)②積丹(北海道)③津軽(青森県)④下北(青森県)⑤男鹿(秋田県)⑥南房総(千葉県)⑦能登(石川県、富山県)⑧伊豆中南部(静岡県)⑨紀伊(三重県、奈良県、和歌山県)⑩丹後(京都府)⑪島根(島根県)⑫江能倉橋島(広島県)⑬室津大島(山口県)⑭佐田岬(愛媛県)⑮幡多(高知県)⑯東松浦(佐賀県、長崎県)⑰北松浦(佐賀県、長崎県)⑱島原(長崎県)⑲西彼杵(長崎県)⑳宇土天草(熊本県)㉑国東(大分県)㉒大隅(宮崎県、鹿児島県)㉓薩摩(鹿児島県)

双方の市町村の区域がいずれかに該当すること(告示第一号ロ)

告示内で定められた地域内に、営業所のある市町村と定期航路便の最初に入港する港のある市町村があれば観光庁長官の定める区域に該当します。

具体的な地域は、冒頭の条文をご確認ください。

交通拠点がある市町村の区域

交通拠点についての定義は、平成十九年国土交通省告示第四百五号第二号に基づく第三種旅行業務及び地域限定の範囲についてという通達で示されています。
この通達によると、交通拠点とは駅、空港、港、バスターミナルのような交通・観光の要衝となるところを指します。

実施可能な旅行形態

交通拠点の特例により、第3種旅行業者や地域限定旅行業者であっても、次のような旅行が可能になります。

  • 交通拠点のある市町村を出発地、営業所のある市町村とその隣接市町村を目的地とする旅行
  • 営業所のある市町村とその隣接市町村を出発地、交通拠点のある市町村を到着地とする旅行

つまり、交通拠点から出発する旅行交通拠点を目的地とする旅行、どちらもOKということです。
また、交通拠点は営業所のある市町村とは別の都道府県でもOKです。

一方で注意事項もあります。

1つ目は、移動中の立ち寄りが認められないということです。
通常、交通拠点と営業所のある市町村および隣接市町村は、離れている地域です。
第3種旅行業での募集型企画旅行や、地域限定旅行業での旅行業務は、営業所のある市町村、隣接市町村、観光庁長官の定める区域以外を旅行の目的地とすることはできないため、この点は注意が必要です。
実務的に言えば、どの程度の立ち寄りまでなら認められるかは都道府県ごとの判断にゆだねられているので、確認が必要です。

2つ目は、広告表示や書面への記載です。
旅行業者には、取引条件の説明事項や契約事項の書面交付が義務付けられていますが、交通拠点がある市町村から発着する場合は、これらの書面にその内容を明示しなければなりません。
また、企画旅行として催行する場合には、広告表示についても同様に明示しなければなりません。

3つ目は、交通拠点間での移動に貸切バスを使用する場合です。
この場合通常の旅行業務と同じように、白ナンバーの貸切バスによる営業は認められていないので、緑ナンバーのバスを使用する必要があります。

観光庁長官の定める区域は、第3種旅行業や地域限定旅行業の業務範囲を拡げるものとして、順次拡大されてきました。
通常であれば営業所のある市町村と隣接市町村でしか旅行催行できなかったものが、この規定により旅行の催行可能範囲が広がり、業務としての可能性も広がっています。
特に、離島観光や地方観光の切り札ともいえる存在です。

魅力ある観光商品づくりのために、積極的に活用していければよいですね。

観光庁長官の定める区域のまとめ

  • 営業所のある市町村から定期旅客船が出ている離島で、出航後1番最初に入港する市町村
  • 営業所のある市町村から定期旅客船が出ている法律で指定された半島地域内の市町村で、同一都道府県or隣接都道府県にあるもの
  • 交通拠点がある市町村

旅行業に関するお手続・事業の運営で、気になっていることはございませんか?

観光庁長官の定める区域は、まだまだあまり広く知られているとは言えません。
しかし、第3種旅行業や地域限定旅行業等で旅行業務を行う場合、この告示の内容を活用できれば、旅行商品の造成をする上で有力な武器にもなります。

もし、このような特例の活用で気になることがございましたら、観光法務の専門事務所である行政書士TLA観光法務オフィスにご相談いただければ幸いです。
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