旅行業約款解説

IIT運賃を利用した国内募集型企画旅行契約約款の認可申請について

2020年4月に、国内航空大手2社であるANAとJALは、国内線IIT運賃について、ダイナミックプライシングを導入することになりました
新IIT運賃は約1年前から取消料が発生するため、その結果、旅行業約款で定められた取消料規定では、旅行者都合による旅行契約の解除があった場合でも、旅行会社が損をする可能性が出てきました。
そこで、そのような不都合を解消するために、旅行業約款の個別認可を受けることで、新IIT運賃を組み込んだ募集型企画旅行であっても、きちんと取消料を回収することができるようになります。

こんな方にオススメ

ANAやJALの新IIT運賃を組み込んだ国内募集型企画旅行を造成する第1種旅行業者、第2種旅行業者

IIT運賃とは何か

航空会社の運賃の種類

正規運賃

まず、割引がされていない正規運賃があります。
これは、便の変更や発券期間、取消時期等の自由度が高いものです。
その分他の運賃よりは高い金額となっています。。

PEX運賃

PEX運賃は、航空会社が独自に割引額を設定して個人や旅行会社に販売する運賃航空券です。
便の変更ができなかったり、早い段階で取消料がかかる等の制限があります。
航空会社のウェブサイトで直販している割引航空券は、このPEX運賃を利用しています。

割引運賃(IT運賃)

IT運賃とは、航空会社が旅行会社向けに割引額を設定して販売する運賃航空券です。
個人が航空会社から直接購入することはできず、旅行会社経由で取り扱うことになります。
一般的にはパッケージツアーや団体旅行向けに用いられることを想定していて、ホテルや送迎を組み込んで使うことになっています。
半年に一度、需要予測を立てて価格決定をするのがその特徴です。

団体包括旅行運賃(GIT運賃)

IT運賃の一種で、1994年に個人包括旅行運賃(IIT運賃)が導入されたことで廃止されました。
団体旅行等で使用されることを想定している者ですが、実際には、旅行会社がバラして格安航空券として個人にも販売をしています。

個人包括旅行運賃(IIT運賃)

IT運賃の一種で、1名からでも適用できる個人旅行向けの格安航空運賃です。

新IIT運賃

2020年4月から国内航空大手2社(ANAとJAL)が、国内IIT運賃にダイナミックプライシングを導入することを決めました。
ダイナミックプライシングは変動料金制ともいい、予約残席数に応じて価格が変動していくスタイルです。
従来のIIT運賃が、半年ごとに需要予測を立てて価格決定をするのに対して、新IIT運賃は常時価格が変動していきます。
価格が変動すると何が起こるかというと、旅行会社の募集型企画旅行広告に、旅行代金を明示することができなくなります
従来型IIT運賃を組み込んだ募集型企画旅行であれば、ある期間の最低価格と最高価格が決まっていたので、その価格幅を記載すれば募集広告として成立していました。
しかし、新IIT運賃を組み込んだ募集型企画旅行は、旅行会社側ではその価格を事前に把握することはできないため、国内線を利用した募集型企画旅行広告に、旅行代金を明示することができなくなります。
そうすると、旅行業法で定められた広告への記載事項を十分に満たさないことになります。

その他、新IIT運賃では取消料が約1年前から発生することから、旅行者都合で旅行がキャンセルされた場合であっても、旅行業約款で定められた旅行会社から旅行者へ請求することができる取消料規定では、取消料をカバーできない可能性もあります。

個別認可約款が対象としているIIT運賃は、この新IIT運賃です。

国内募集型IIT約款で変わること

国内募集型企画旅行の取消料

旅行契約解除の時期 取消料額
航空会社が設定する航空券(募集型企画旅行のために旅行の目的地における宿泊費その他の費用を合算した旅行代金の額のみを表示することができ、運賃・料金を単独では表示することができない航空券(1名から利用できる「個人包括旅行運賃」に限る。))を利用する募集型企画旅行契約であって、契約書面いおいて、当該航空券が利用されること、航空会社の名称、並びに当該航空券に関して航空会社が定める取消手数料、違約料、払戻手数料その他の航空運送契約の解除に要する費用(以下、総称して「航空券取消料等」といいます。)の条件(以下、「航空券取消条件」といい、当該航空会社のウェブサイト等でご確認いただけます。)及び金額を明示したもの
旅行契約締結後に解除する場合
(以下の場合を除く。)
旅行契約を解除した時点において航空券取消条件を適用した場合の航空券取消料等の額(以下、「旅行契約解除時の航空券取消料等」といいます。)以内
旅行開始日の 21日前~9日前 旅行代金の20%又は
旅行契約解除時の航空券取消料等の
どちらか大きい金額以内
8日前~2日前 旅行代金の30%又は
旅行契約解除時の航空券取消料等の
どちらか大きい金額以内
前日 旅行代金の40%又は
旅行契約解除時の航空券取消料等の
どちらか大きい金額以内
当日
(以下の場合を除く。)
旅行代金の50%又は
旅行契約解除時の航空券取消料等の
どちらか大きい金額以内
旅行開始後の解除又は無連絡不参加 旅行代金の100%以内

なお、航空券に関して、旅行会社が航空会社に支払う航空券取消料等が発生しなかった場合は、旅行契約解除時の航空券取消料等は無料として取扱います。
また、航空券取消料等が航空会社によって減額された場合は、その減額後の金額を旅行契約解除時の航空券取消料等として取扱います。

取引条件説明書面への記載

認可約款の取消料規定を適用するためには、取引条件説明書面に所定の事項を記載する必要があります。

  • IIT運賃を利用する旨
  • 航空会社名と利用する運賃の種別
  • 航空会社が定める取消手数料等の費用の合計額
  • 航空券取消料等の合計額が標準旅行業約款所定の取消料を超える場合は、航空券取消料の合計額の範囲内の金額を取消料の金額とする旨
  • 旅行者が旅行会社の航空券取消条件を確認する方法

募集広告の取扱い

募集型企画旅行広告への記載事項の1つとして、旅行代金を表示することが義務付けられています
従来のIIT運賃であれば、一定期間で最低金額と最高金額が定まっていたので、募集型企画旅行広告にはその価格幅を表記することで対応することができました。

しかし、新IIT運賃は座席数によって運賃が変動するため、旅行者からの問い合わせに応じてその段階での運賃に基づいた旅行代金を設定する方法を取らなければなりません。
いつ誰が申し込んでくれるか分からない広告に、特定の金額や、一定幅の金額を記載することができないのです。

そこで、旅行代金の表示がない告知広告を作成して、お客様からの問い合わせがあればその都度旅行代金を表示した取引条件説明書面を交付して、旅行契約を行っていくという方向で対応することになります。
この告知広告は募集広告ではないため、この告知広告の身ではお客様と旅行契約をすることはできません。

この告知広告には以下の事項を記載しておく必要があります。

  • 告知広告の身では募集型企画旅行契約の締結には応じない旨
  • 旅行代金はお問い合わせの都度、別途発行する取引条件説明書面にてご案内をする旨
  • 上記の他、募集広告に記載すべき事項
  • 旅行代金の目安(記載が無くても良い)
  • 個人包括旅行運賃を利用する商品である旨

約款を適用できる条件

  1. 航空会社が設定するIIT運賃を利用したものであること
    • 国内募集型企画旅行であること
    • 1人から利用できること
    • 旅行代金の総額のみを表示することができて、運賃を単独では表示することができない航空券
    • 航空券の取消料等、航空運送契約解除に必要な費用について一般消費者が航空会社のウェブサイト等で確認することができること
  2. 取引条件説明書面に所定事項を記載すること
    • IIT運賃を利用する旨
    • 航空会社名と利用する運賃の種別
    • 航空会社が定める取消手数料等の費用の合計額
    • 航空券取消料等の合計額が標準旅行業約款所定の取消料を超える場合は、航空券取消料の合計額の範囲内の金額を取消料の金額とする旨
    • 旅行者が旅行会社の航空券取消条件を確認する方法

必要書類

  • 旅行業約款変更認可申請書
  • 認可を希望する旅行業約款案
  • 現行の旅行業約款との対照表
  • 宣誓書

流れ

申請先

旅行業約款の変更認可申請先は、第1種旅行業者は主たる営業所を管轄する地方運輸局です。
第2種旅行業者、第3種旅行業者、地域限定旅行業者は各都道府県に申請します。

申請から認可までの流れ

書類の作成

申請先へ書類提出

審査処理(標準処理期間:60日)

認可

認可約款の適用開始(旅行商品の販売)

旅行業約款の認可申請は、標準的な処理期間は60日となっております。
しかし、この国内募集型IIT約款は事前に調整が行われた定型的個別認可約款であるため、早ければ2週間程度で認可されることもあります。

留意事項

約款が認可された後は、認可後の約款を営業所に掲示or備え置きしておかなければなりません。
旅行業協会等では対応したひな形を作成していないので、自社で作成する必要があります。

行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行業約款の個別認可申請のサポートをしております。
約款の認可申請はもちろん、必要に応じて企画書面や契約書面等の見直しにも対応しています。
自社でも頑張ればできる内容ですが、もしご不安に思われたりサポートを受けてみたいと思って頂けましたら、お問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
あなたからのご連絡をお待ちしております。

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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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