旅行業

旅行業の基準資産が足りない場合の5つの対応方法

旅行業の新規登録や5年に1度の更新登録では、第1種旅行業、第2種旅行業、第3種旅行業、地域限定旅行業の各登録種別ごとに決められている基準資産額を満たしていることが非常に重要です。
基準資産額を満たしていなければ、新規登録や更新をすることが出来ません。

こんな方にオススメ

旅行業登録の更新が間近に迫っている方

旅行会社をクライアントに持つ税理士の方

なぜ基準資産額が大事なのか

旅行業の登録申請時には、直前期の申告書と決算書類一式を提出します。
それらの資料を使って、各登録種別ごとに定められた基準資産額を満たしているかどうか、確認が行われます。

なぜ基準資産額が必要なのか。
それは、旅行業という法律が消費者=旅行者の保護に重きを置いているためです。
旅行の契約は通常、旅行者がサービスの提供を受ける前に旅行会社に対して旅行代金を支払います。
もし財務状況が不安定な会社の場合、申し込みをした直後に破産をしてしまうなんてことがあるかもしれません。
少しでも、そういった不測の事態を防ぐために、一定の金銭水準を要求しているのです。

万が一直前決算期の決算書類を計算した結果、基準資産額を満たしていなかったとしてもいくつかの方法でリカバリーをすることが可能です。

増資

1つ目の対応方法はズバリ、増資をすることです。
増資の方法にもいくつかやり方があります。

現預金を出資する

1番シンプルな方法です。株式会社の場合は、新しい株式を発行して、その株を購入することで現預金を出資するパターンです。

不動産等を出資する

例えば代表取締役名義の不動産を現物出資するような場合が該当します。

役員借入金を振り替える

ややイレギュラーなケースですが、特に中小企業の場合は、会社の代表取締役が個人の現預金を会社に貸し付けて事業運営を行っている場合があります。
このとき、貸借対照表の負債の部に計上されている役員借入金を、資本金に振替えることで増資することができます。
既に借り入れをしている状態なので、貸借対照表の負債が減少します。

どのような手段で増資をするかについては、税務的な観点からの精査も必要です。
例えば、役員借入金を資本金に振替えるようなケースでは、新しく発行する株式の時価によっては、課税対象になり、税負担が増えることにもつながります。

なお、増資をした場合、旅行業の登録申請時には直前期の決算書類に加えて増資後の金額が記載されている商業登記簿謄本を提出します。

贈与

基準資産額を満たすために、一定金額以上の資産を贈与する方法です。
贈与によって基準資産額を満たそうとする場合、公証役場において贈与契約書を公正証書の形で残す必要があります。

贈与は、法人が無償で資産を受け取ることになるため、利益が増えたとみることが出来、法人税の課税対象となることに注意が必要です。
実務上、贈与により基準資産額を満たした場合は、公正証書の提出が必要です。
また、現預金が贈与の対象となっている場合は、入金の事実が分かるように通帳の取引明細を提出します。

所有不動産の評価をし直す

所有不動産の評価替えは、固定資産として建物や土地を所有している場合に有効な方法です。
とはいえ、建物は通常時間の経過とともに資産価値が減少していきます。
また、土地の価格についても、将来的に大規模な開発計画があるというようなことでもない限り、評価額が急激に上がるということも考えにくいです。

あまり現実的な手段ではありませんが、不動産の評価替えを行った場合には、不動産鑑定士が作成をした不動産鑑定書固定資産評価証明書を提出します。

債務免除

債務免除は、簡単に言えば借金をチャラにしてもらう方法です。
増資のところでも出てきた役員借入金を、無かったことにするような場合が典型例です。
債務が免除されるので、貸借対照表の負債の部の数値が減少することになります。

債務免除をすると、免除を受けた分だけ利益が発生したとみなされるので、法人税の課税対象になる点は注意が必要です。

債務免除の手段で基準資産額を満たそうとする場合は、贈与の時と同じように、債務免除について公正証書の形で残す必要があります。
申請時には、この公正証書を提出します。

会社を設立し直す

ここまでくると、ウルトラCです。
これまで例示してきた手段で基準資産額を満たすことが出来ない場合、新しく会社を設立し直すということも視野に入れる必要があります。

会社を設立し直すということは、旅行業の登録を新規で行うということになります。
当然、登録番号は変わってしまいますし、新会社で旅行業登録を受ければその分の営業保証金も必要になります。
また、完全に旅行業登録の切れ目なく引き継がせることは難しいので、どうしても一定期間営業できない空白期間が生まれてしまいます。

旅行業の登録に必要な旅行業務取扱管理者は兼任ができないため、既存会社と新会社それぞれの管理者として選任することはできません。
ですので、会社設立し直しパターンは、複数人の管理者の方がいる場合に有効な手段です。
ただ、登録行政庁によっては、管理者が1人しかいない場合であっても、新会社の旅行業登録と同時に既存会社から新会社へ完全に転籍することを条件に、受け付けてくれることもあります。

事前に登録行政庁の担当者とよく協議をしておく必要があります。

基準資産額は普段から意識をしておく

旅行業の登録手続で必要な基準資産額は、直前の決算期で作成した決算書類を見て判断をします。
更新直前になって何とかしようと思っても、既に手遅れとなっていることが見受けられます。
基準資産額を満たしていない場合、災害や不況時に出される特例を除いて、一切救済措置はありません。
基準を満たせない場合は、そのまま更新できずに登録抹消となります。

決算書はその企業の1年間の成績表です。
ぜひ、普段の経営から基準資産額を意識した数字づくりをしていただければと思います。

基準資産額が不足した時のまとめ

基本的には、増資・贈与・不動産の評価替え・債務免除の4つの手段で回避する

どうにもならないときは新会社を設立して事業承継する

毎年、基準資産額を意識して決算書の作成をする

行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行業の更新を控えた旅行会社さまの基準資産額のチェックを行っております。
手続直前になって慌てることの無いように、日ごろからきちんとご準備をしていただきたいと考えております。
サポートを受けたいとお考えの場合は、お電話やお問い合わせフォームからご連絡ください。

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ヤチダ マサヤ
ヤチダ マサヤ
観光の力で日本を元気に、をモットーに活動している観光系行政書士です。現在は、旅行会社様、宿泊事業者様、そして外国人雇用を目指す事業者様の経営支援を中心に活動しています。正しくお金を稼いで、世の中に還元したいと考えています。趣味は、オーケストラでの演奏活動。【取扱業務】旅行業登録手続/旅館業許可申請/住宅宿泊事業届出/就労ビザ(在留資格)申請手続/酒販免許申請/その他の営業許可取得はご相談ください

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