会社を設立して旅行業登録をして旅行会社としての営業を始めようとする場合、いったいどれくらいの費用が必要になるのでしょうか。
旅行業の登録に必要な手数料や会社設立について説明したウェブサイトは沢山ありますが、実際には事務所の賃貸や人件費等、考えるべきことは他にもあるのです。
この記事では、旅行業を始めるために必要な費用の全体像を説明しております。
独立前の資金形成の参考にしてみてください。
会社設立にかかる費用
株式会社を設立する場合
株式会社を設立する場合、定款認証をする際に紙の定款認証をするのか、電子定款認証をするかで定款に貼る印紙代が変わってきます。
もし、司法書士に設立手続を全て依頼する場合は、これに加えてその報酬が加算されます。
項目 | 紙の定款認証 | 電子定款認証 |
---|---|---|
定款印紙代 | ¥40,000- | ¥0- |
定款認証手数料 | ¥50,000- | ¥50,000- |
謄本交付手数料 | 約¥2,000- | 約¥2,000- |
設立登記登録免許税 | ¥150,000- | ¥150,000- |
合同会社を設立する場合
合同会社は株式会社と異なり、定款認証をする必要が無いため、定款認証代がかかりません。
また、登録免許税も株式会社と比べて割安です。
項目 | 紙の定款認証 | 電子定款認証 |
---|---|---|
定款印紙代 | ¥40,000- | ¥0- |
定款認証手数料 | ¥0- | ¥0- |
謄本交付手数料 | ¥0- | ¥0- |
設立登記登録免許税 | ¥60,000- | ¥60,000- |
旅行業協会への入会にかかる費用
JATAに入会する場合
JATAは旅行業の登録種別に関係なく、入会金も年会費も一律です。
第1種旅行業者は、ANTAに入会するよりもJATAに入会した方が割安です。
項目 | JATA入会費用 |
---|---|
入会金 | ¥800,000- |
年会費 | ¥350,000- |
特別会費 | ¥600-/1人あたり |
ANTAに入会する場合
ANTAは、旅行業の登録種別によって入会金や年会費が異なります。
また、全国旅行業協会の支部とは別に、例えば東京都であれば東京都旅行業協会という別団体への同時加入を推奨されることがあります。
都道府県により異なりますので、詳細な費用についてはANTAの各都道府県支部に確認をするようにしてください。
第1種旅行業
項目 | ANTA東京都支部 | 東京都旅行業協会 |
---|---|---|
入会金 | ¥2,250,000- | ¥400,000- |
年度会費 | ¥91,000- | ¥20,000- |
第2種旅行業
項目 | ANTA東京都支部 | 東京都旅行業協会 |
---|---|---|
入会金 | ¥650,000- | ¥200,000- |
年度会費 | ¥71,000- | ¥20,000- |
第3種旅行業
項目 | ANTA東京都支部 | 東京都旅行業協会 |
---|---|---|
入会金 | ¥550,000- | ¥100,000- |
年度会費 | ¥61,000- | ¥20,000- |
地域限定旅行業
項目 | ANTA東京都支部 | 東京都旅行業協会 |
---|---|---|
入会金 | ¥400,000- | ¥50,000- |
年度会費 | ¥25,000- | ¥20,000- |
旅行業登録にかかる費用
営業保証金または弁済業務保証金分担金
登録種別 | 営業保証金 | 弁済業務保証金分担金 |
---|---|---|
第1種旅行業 | ¥70,000,000- | ¥14,000,000- |
第2種旅行業 | ¥11,000,000- | ¥2,200,000- |
第3種旅行業 | ¥3,000,000- | ¥600,000- |
地域限定旅行業 | ¥150,000- | ¥30,000- |
登録免許税または登録手数料
登録種別 | 登録免許税または登録手数料 |
---|---|
第1種旅行業 | ¥90,000- |
第2種旅行業 | 都道府県により異なるため、個別で確認 ※東京都の場合は¥90,000- |
第3種旅行業 | |
地域限定旅行業 |
その他旅行事業の営業にかかる費用
事務所の賃貸
ここでは、家賃10万円(消費税込)の物件を賃貸する想定で計算をしていきます。
レンタルオフィスや自宅開業することで圧縮可能な部分ではありますが、事務所条件が厳しい都道府県で旅行業の開業をする場合は、物件を決める前に必ずその物件で旅行業登録ができるのか、確認をするようにしてください。
項目 | 費用 |
---|---|
敷金(保証金) | ¥300,000- 賃料の3ヶ月分 |
礼金 | ¥100,000- 賃料の1ヶ月分 |
前家賃 | ¥100,000- 賃料の1ヶ月分 |
仲介手数料 | ¥100,000- 賃料の1ヶ月分 |
火災保険料 | ¥20,000- |
保証会社手数料 | ¥100,000- 賃料の1ヶ月分 |
合計 | ¥720,000- |
オフィス什器
オフィス什器は、中古品を購入することで圧縮できる部分も多いです。
オフィス什器 | 費用 |
---|---|
事務机 | ¥15,000- |
椅子 | ¥10,000- |
来客用机 | ¥10,000- |
来客用椅子×4セット | ¥15,000- |
パソコン | ¥100,000- |
電話機 | ¥10,000- |
複合機 | ¥40,000- |
書類用キャビネット | ¥10,000- |
合計 | ¥210,000- |
回線工事
業務を行う上で電話回線とインターネット回線は欠かせません。
電話回線とインターネット回線については、インターネットの光回線を契約して、同時にひかり電話の契約をすることが一般的です。
各種回線 | 費用 |
---|---|
インターネット回線工事 | ¥10,000- |
ひかり電話工事 | ¥5,000- |
ウェブ制作
ウェブ制作は、作るページの内容や制作会社によりけりですが、維持管理をしない政策だけをお願いする場合、30万~50万円程度は見込んでおいた方が良いでしょう。
販促ツール制作
名刺やパンフレットは、ココナラやランサーズ、クラウドワークスのようなクラウドソーシングサイトを使うことで、比較的安価に発注することができます。
名刺とパンフレットで5万円程度予算があれば、それなりに良いものを作れます。
旅行業務システム
システム導入も、完全オーダーメイド型なのか、クラウド型なのか、利用ユーザーは何人なのか等々、条件によって異なってきます。
完全オーダーメイドで買い取り方式だと、ウェブ制作と同じように数十万円はかかります。
一方で、パッケージ製品でクラウド型かつサブスクリプション方式だと、月額1~2万円程度で導入できるものもあります。
人件費
人件費は、従業員を採用するのであれば当然その従業員の給与が毎月発生します。
従業員を採用しなくても、社長であるあなたに役員としての報酬を支払う場合は、役員報酬と健康保険や厚生年金保険といった社会保険料の支払いが発生します。
その他運転資金
運転資金の考え方には色々ありますが、開業当初は毎月必ず出費する「固定費」で考えると良いです。
例えばオフィスの家賃や、人件費がそれに該当します。
旅行業を始めるために必要な費用まとめ
- 電信定款を作成して株式会社を新規設立
- 従業員は雇わずひとり社長の会社
- 役員報酬は初月から¥200,000-
- 事務所は賃貸で家賃¥100,000-
- 東京都で第3種旅行業の登録をする
- 旅行業務システムは導入しない
旅行業協会に入会しない場合
項目 | 費用 |
---|---|
株式会社設立(電子定款) | ¥202,000- |
営業保証金 | ¥3,000,000- |
旅行業登録手数料 | ¥90,000- |
オフィス賃貸初期費用 | ¥720,000- |
オフィス什器 | ¥210,000- |
回線工事 | ¥15,000- |
ウェブ制作 | ¥500,000- |
販促ツール | ¥50,000- |
人件費(役員報酬) | ¥200,000- |
合計 | ¥4,987,000- |
旅行業協会に入会する場合
項目 | 費用 |
---|---|
株式会社設立(電子定款) | ¥202,000- |
ANTA入会費用 | ¥731,000- |
弁済業務保証金分担金 | ¥600,000- |
旅行業登録手数料 | ¥90,000- |
オフィス賃貸初期費用 | ¥720,000- |
オフィス什器 | ¥210,000- |
回線工事 | ¥15,000- |
ウェブ制作 | ¥500,000- |
販促ツール | ¥50,000- |
人件費(役員報酬) | ¥200,000- |
合計 | ¥3,318,000- |
旅行会社を設立して営業を始めるまでに、旅行業協会に入会しない場合は約500万円、入会する場合でも約350万円は出費することになります。
当然最初から順調に売上が立たない可能性を考えておく必要がありますので、最低でも運転資金の半年分は、現金として会社内に残しておくべきです。
役員報酬が20万円、家賃が10万円だとすれば、毎月の固定費は30万円です。
30万円×6ヶ月分=180万円は現預金として残しておきたいところです。
つまり、会社を設立する際には、旅行業協会に入会しない場合は資本金約700万円、入会する場合でも資本金約500万円程度は自己資金で貯めておきましょう。
また、それに加えて日本政策金融公庫から創業融資を追加で受けるということも十分有効です。
旅行会社を始めるために必要な資金がどれくらいなのか、イメージはつきましたでしょうか。
行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行業登録手続だけでなく、営業開始するまでのトータルコーディネートをお手伝いすることができます。
また、開業後に創業融資を受ける際のアドバイスにも対応しております。
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