足湯施設を始めるのに許可は必要か?2つの法律を専門家が解説

足湯施設を始めるのに許可は必要か?
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足湯は、気軽に実践できる健康法として人気があります。
また、観光スポットづくりの一環として足湯を設置するということもあります。
足湯を設置する際に、何らかの営業許可の取得が必要なのか、というご質問を受けることがあるため、この記事では足湯に必要な手続について解説いたします。

この記事の想定読者

不特定多数の人が利用する足湯施設を設置したい人

目次

足湯と公衆浴場法

公衆浴場の定義

まず一番最初に検討事項として出てくるのは、公衆浴場法上の許可が必要かということです。
公衆浴場法は、いわゆる銭湯や健康ランドのような、不特定多数の人を対象に入浴施設を利用させる場合に必要な、浴場業の許可を管理している法律です。

公衆浴場法では、公衆浴場のことを

温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設

と定義しています。
そして、同法では業として公衆浴場を経営する場合には浴場業の許可を都道府県知事から受ける必要があると定めています。

足湯に公衆浴場の許可は必要か

それでは、足湯の施設を設置するためには、公衆浴場法上の浴場業の許可を取得する必要があるのでしょうか。

結論を先に答えてしまうと足湯の施設のみを設置する場合には、公衆浴場法上の許可の取得は不要です。

浴場業の許可が必要になるためには、前記のとおり

  1. 温湯、潮湯又は温泉その他を使用して
  2. 公衆を
  3. 入浴させる施設

に該当するかを判断することになります。

このうち、①と②には該当するとして、③の「入浴させる施設」には当てはまらないというのがその理由です。
「入浴」の定義については、必ずしも法律などでは明らかにされていません。

昭和42年1月23日に、東京都から「入浴」とはどのような行為を言うのかという照会があり、厚生省がそれに対して回答をしていますが、その回答についても

「温湯、潮湯又は温泉その他を使用して、公衆を入浴させる施設」が、どの範囲のものであるかは、この法律の立法目的である当該施設における衛生の確保の必要性の有無を考慮して判断すべきものであり、単に「入浴」の語義が何であるかによって判断すべきものではない。

昭和43年7月25日 環衛第8113号(厚生省環境衛生局環境衛生課長回答)

となっており、入浴の定義自体は明確に言及していません。

上記回答をベースにすると、足湯という施設については、単に人間の膝より下の部分について湯に浸すものであるため、公衆浴場法が目的としている衛生の確保について、規制を掛ける程のものでは無いという考え方なのかもしれません。

ですので、足湯施設を設置する場合に、本記事執筆時点では公衆浴場法の許可は不要だというのが結論です。
なお、許可は不要であって、足湯施設を清掃していた人がレジオネラ菌に感染していたという事例もあるため、法律の適用が無いとしても衛生対策は入念にする必要はあるでしょう。

足湯と温泉法

温泉法とは何か

温泉法は、日本の重要な資源である温泉を保護し、温泉の採掘などで発生する可燃性の天然ガスによる災害などを防止する目的をもっています。

温泉法では、温泉のことを

地中からゆう出する温水、鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で、別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう

と定義しています。

別表では、温度は温泉源から採取されるときの温度が摂氏25℃以上、物質は19種類の物質のうちどれか1つでも、既定量以上を含有していることとなっております。
そして、「温度又は物質を有する」となっているので、成分が含まれていなくても温度が25℃以上あれば温泉となり、25℃未満でも成分が含まれていれば温泉といえます。

温泉法では、温泉を掘削する際の許可と、温泉を利用する際の許可について定められています。
このうち、温泉を利用する際の許可については、温泉を公共の浴用又は飲用に供しようとする者は都道府県知事の許可を取得することとされています。

温泉を利用する足湯には許可が必要

温泉の利用許可が必要なケースとしては、

  1. 温泉を公共の用に供すること
  2. 温泉を浴用又は飲用に供すること

に当てはまる必要があります。

公共の用に供するとは、不特定多数の人の用に供することを指しています。
ですので、源泉から自宅まで温泉を引いて、個人で楽しむような場合には、公共の用に供するとはいえないので、温泉利用の許可は不要です。

浴用に供するとは、浴用という言葉が入浴よりも広い概念として考えられています。
なので、温泉プールや整形外科での温浴療法も、浴用に該当するとされています。
また、足湯や手湯についても同様に、公衆衛生を確保する観点から許可が必要とされています。
また、常設ではなく期間限定やイベント等の仮設の足湯等であっても、温泉利用の許可取得が必要です。

まとめ

足湯施設を設置する場合、大きく分けると公衆浴場法温泉法の許可についてそれぞれ検討が必要です。

このうち、公衆浴場法の許可については、足湯という形態が、法律が目的としている公衆衛生の確保について、規制すべきものとまでは考えていないため、現時点では許可取得は不要とされています。

他方、温泉法の利用許可については、浴用という概念が入浴よりも広くとらえられており、全身では無い利用についても公衆衛生の確保の観点から、足湯や手湯についても温泉利用許可を取得すべきとされています。

その他、附帯する設備によってはさらに詳細な判断が必要になることもあるため、これらの施設の設置を検討している場合は、ぜひ専門家や担当の行政窓口にご相談いただければと思います。

行政書士TLA観光法務オフィスでは、観光法務の専門事務所として、観光資源でもある温泉関係の手続サポートにも対応しております。
足湯、手湯に限らず、温泉を観光資源として利用する場合には行政手続が必要となります。
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