旅行契約の締結前には取引条件の説明と書面の交付が必要

旅行契約の締結前には取引条件の説明と書面の交付が必要
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旅行業法では、旅行会社さんが旅行者と契約を結ぶ前には、取引条件の説明をするとともに、書面を交付することが義務付けられています。
もし説明を怠ったり、書面を交付をすべき場面で交付をしないような場合には、業務停止命令等の行政処分の対象となり、さいあく旅行業登録の取消という事態にもつながりますので十分にご注意ください。

この記事を読んでわかること

  • 取引条件の説明が必要な内容について
  • 取引条件の説明書面に記載が必要な項目について
  • 書面を交付しないでもいいケースがある

目次

取引条件についての説明が必要な内容とは

取引条件の説明が必要な内容については、企画旅行契約旅行相談契約それ以外の旅行契約という各契約種別ごとにその内容が決められています(旅行業者等が旅行者と締結する契約等に関する規則第3条)。

旅行業務取扱管理者試験では暗記必須、頻出の重要な論点です。
現在の業務中オペレーションを見直して、抜け漏れが無いか、ぜひ確認をしてみましょう。

実務的には、取引条件の記載された書面の交付をもって取引条件の説明をしたこととしていることがほとんどですので、その場合は書面についてもぜひ見直しをしてみてください。

特に、企画旅行にしかないもの、企画旅行以外のものにしかないものが何なのか、について意識をしてみてください。

企画旅行契約を結ぶ場合の説明が必要な内容

  1. 企画旅行を実施する旅行業者(企画者)の氏名または名称
  2. 企画者以外が代理で契約を結ぶ場合はその旨
  3. 旅行の目的地と出発日、その他の日程
  4. 旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
  5. 旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容
  6. 旅行者が支払う対価に含まれていない旅行に関する経費で、旅行者が通常必要とするもの
  7. 募集型企画旅行で最低催行人数がある場合はその旨と人数
  8. 契約の申込み方法、契約の成立に方法について
  9. 契約の変更、解除について
  10. 責任、免責について
  11. 旅行中の損害の補償について
  12. 旅行に参加する資格がある場合には、その旨と資格について
  13. 旅行者が支払う対価によって受けることができるサービスに、企画旅行の実施のためだけに提供される運送サービスが含まれる場合、旅行者が取得することが望ましい輸送の安全に関する情報
  14. 旅行の目的地を勘案して、旅行者が取得することが望ましい安全、衛生に関する情報がある場合はその旨と情報
  15. 全国通訳案内士、地域通訳案内士の同行の有無
  16. 旅行者が支払う対価によって受けることができるサービスに、住宅宿泊事業法上の届出住宅(民泊)サービスがある場合は、その民泊サービス提供事業者の商号、名称または氏名、届出番号、旅行者が宿泊する届出住宅について

企画旅行以外の旅行業務に関する契約を結ぶ場合の説明が必要な内容

  1. 契約を結ぶ旅行業者の氏名または名称
  2. 代理業者が所属旅行業者を代理して契約を結ぶ場合はその旨
  3. 旅行業務の取扱い料金について
  4. 旅行業務として、民泊サービスの手配をする場合には、その民泊サービス提供事業者の商号、名称または氏名、届出番号、旅行者が宿泊する届出住宅について
  5. 企画旅行の契約で説明が必要な内容のうち、③~⑥、⑧~⑫、⑭の事項について

旅行相談業務について契約を結ぶ場合の説明が必要な内容

  1. 旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
  2. 旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容

取引条件を説明する時は原則書面を交付する

原則、紙で説明書面を交付する

旅行会社さんは、取引条件の説明を行うときは、法律で定められた項目を記載した書面を交付する義務があります(旅行業法第12条の4第2項)。
これは、紙の書面を交付する、という意味です。

交付しなくていい場合

書面を交付しなくてもいい例外として、「旅行業者等が対価と引き換えにサービスの提供を受ける権利を表示した書面を交付する場合」という風に定められています。
この「サービスの提供を受ける権利を表示した書面」というのは、例えば運送機関の乗車券、乗船券、航空券、観光施設の入場券(以下、「チケット類」とします。)といったものがあげられます。
また、宿泊施設から宿泊契約の締結を委託された旅行会社さんが旅行者から宿泊代金を受け取って発券する、旅行会社さんが作成した宿泊券もこのようなチケット類に該当します。

こうしたチケット類を受け取ることが出来れば、旅行者としては自分が受けるサービスを明確に認識できるため、わざわざ取引条件の説明書面を発行するまでもない、ということなのです。
ただし、旅行者が受けるサービスのうち1つでも、そのようなチケット類が発行されないのであれば、当初のルールどおり取引条件説明書面を発行する必要があります。

紙の書面を交付する代わりの措置

紙の書面発行の例外として、電子的な方法で行うことも可能です。
電子的な方法とは、具体的には、電子メールやPDFファイルで送信する、ウェブサイトに掲示をしてダウンロードしてもらう、CD-ROMに焼いて渡す、といった方法です。

電子的な方法で対応する場合、必ず事前に旅行者からの承諾を得ておく必要があります。
例えば、ウェブサイトであれば事前承諾のチェックボックスをつけて、顧客ごとに承諾の有無の履歴を確認できるようにしておかなければなりません。
また、仮に事前に承諾を貰っていたとしても、書面で交付することを要望された場合には書面で交付しなければなりません。

取引条件について書面に記載が必要な項目

企画旅行契約を結ぶ場合に書面への記載が必要な項目

  1. 企画者の氏名または名称、住所、登録番号
  2. 企画者以外が代理で契約を結ぶ場合はその旨と、代理人の氏名または名称、住所、登録番号
  3. その契約についての旅行業務を取扱う営業所の名称、所在地(外務員が書面を交付する場合は、外務員の氏名、所属する営業所の名称、所在地)
  4. その契約に関わる旅行業務取扱管理者の氏名、旅行者の依頼があればその旅行業務取扱管理者が最終的には説明を行う旨
  5. 企画旅行契約を結ぶ場合の説明が必要な内容のうち、③~⑯の項目について

企画旅行以外の旅行業務に関する契約を結ぶ場合に書面への記載が必要な項目

  1. 契約を結ぶ旅行業者の氏名または名称、住所、登録番号
  2. 代理業者が所属旅行業者を代理して契約を結ぶ場合はその旨と、代理業者の氏名または名称、住所、登録番号
  3. 企画旅行契約を結ぶ場合の説明が必要な内容のうち③~⑥、⑧~⑫、⑭、企画旅行以外の旅行業務に関する契約を結ぶ場合の説明が必要な内容のうち③と④、企画旅行契約を結ぶ場合に書面への記載が必要な項目のうち③と④の事項について

旅行相談業務についての契約を結ぶ場合に書面への記載が必要な項目

  1. 旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
  2. 旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容

取引条件の説明事項と書面への記載事項まとめ

旅行業法上は取引条件の説明書面を交付するということになっていますが、実務的には、旅行業約款やツアーのパンフレット、企画書等、複数の書面の組み合わせで取引条件の説明書面とすることが可能です。
以下に、取引条件の説明事項と、書面への記載事項を表でまとめておりますが、実際の運用方法は各旅行会社さんごとの業務フローに合わせていく必要があります。

表中、太文字の項目は、それぞれの区分(企画旅行/それ以外)独自の項目です。

企画旅行契約の場合

項目取引条件
説明事項
説明書面
記載事項
(1)企画者の氏名または名称
(2)企画者の住所、登録番号×
(3)企画者以外が代理で契約を結ぶ場合はその旨
(4)代理人の氏名または名称、住所、登録番号×
(5)その契約についての旅行業務を取扱う営業所の名称、所在地(外務員が書面を交付する場合は、外務員の氏名、所属する営業所の名称、所在地)×
(6)その契約に関わる旅行業務取扱管理者の氏名、旅行者の依頼があればその旅行業務取扱管理者が最終的には説明を行う旨×
(7)旅行の目的地と出発日、その他の日程
(8)旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
(9)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容
(10)旅行者が支払う対価に含まれていない旅行に関する経費で、旅行者が通常必要とするもの
(11)募集型企画旅行で最低催行人数がある場合はその旨と人数
(12)契約の申込み方法、契約の成立方法について
(13)契約の変更、解除について
(14)責任、免責について
(15)旅行中の損害の補償について
(16)旅行に参加する資格がある場合には、その旨と資格について
(17)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービスに、企画旅行の実施のためだけに提供される運送サービスが含まれる場合、旅行者が取得することが望ましい輸送の安全に関する情報
(18)旅行の目的地を勘案して、旅行者が取得することが望ましい安全、衛生に関する情報がある場合はその旨と情報
(19)全国通訳案内士、地域通訳案内士の同行の有無
(20)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービスに、住宅宿泊事業法上の届出住宅(民泊)サービスがある場合は、その民泊サービス提供事業者の商号、名称または氏名、届出番号、旅行者が宿泊する届出住宅について

企画旅行・旅行相談契約以外の旅行契約の場合

項目取引条件
説明事項
説明書面
記載事項
(1)契約を結ぶ旅行業者の氏名または名称
(2)契約を結ぶ旅行業者の住所、登録番号×
(3)代理業者が所属旅行業者を代理して契約を結ぶ場合はその旨
(4)代理人の氏名または名称、住所、登録番号×
(5)その契約についての旅行業務を取扱う営業所の名称、所在地(外務員が書面を交付する場合は、外務員の氏名、所属する営業所の名称、所在地)×
(6)その契約に関わる旅行業務取扱管理者の氏名、旅行者の依頼があればその旅行業務取扱管理者が最終的には説明を行う旨×
(7)旅行の目的地と出発日、その他の日程
(8)旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
(9)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容
(10)旅行者が支払う対価に含まれていない旅行に関する経費で、旅行者が通常必要とするもの
(11)旅行業務の取扱い料金について
(12)契約の申込み方法、契約の成立方法について
(13)契約の変更、解除について
(14)責任、免責について
(15)旅行中の損害の補償について
(16)旅行に参加する資格がある場合には、その旨と資格について
(17)旅行の目的地を勘案して、旅行者が取得することが望ましい安全、衛生に関する情報がある場合はその旨と情報
(18)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービスに、住宅宿泊事業法上の届出住宅(民泊)サービスがある場合は、その民泊サービス提供事業者の商号、名称または氏名、届出番号、旅行者が宿泊する届出住宅について

旅行相談契約の場合

項目取引条件
説明事項
説明書面
記載事項
(1)旅行者が旅行業者等に支払う対価とその支払方法
(2)旅行者が支払う対価によって受けることができるサービス内容

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