フライ&クルーズ約款の認可申請について

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標準旅行業約款には、旅行者側の都合による旅行契約解除についての取消料規定が置かれています。
この中で、海外旅行では下記のケースでのみ、取消料を収受することができるとされています。

  1. 日本からの出国時又は日本への帰国時に航空機を利用する
  2. 貸切航空機を利用する
  3. 日本からの出国時及び日本への帰国時に船舶を利用する

しかし、次のようなケースでは、船会社が定める取消料や収受時期によって、標準旅行業約款の取消料規定では船会社の取消料をカバーすることができないことがあります。

  1. 出国時及び帰国時に航空機を利用し、海外クルーズ船を利用する場合
  2. 出国時又は帰国時のどちらかで海外クルーズ船を利用する場合

このような事態に対応するため、フライ&クルーズ旅行の取消料について、標準旅行業約款の規定を調整する個別認可約款の申請が認められています。

こんな方にオススメ

フライ&クルーズ旅行商品の企画を考えている

目次

フライクルーズ約款で変わること

募集型企画旅行の取消料

旅行日程中に3泊以上のクルーズ日程を含んでいる場合、下記の表の取消料を収受することができるようになります。
ただし、日本からの出国時と日本への帰国時にどちらも船舶を利用するものについては、適用対象外となります。

旅行日程中に3泊以上のクルーズ日程を含む募集型企画旅行契約
日程に含まれるクルーズに係る取消料規定の取消料収受期間の起算日であるクルーズ開始日を旅行開始日と読み替えた期間内に解除する場合(下記に掲げる場合を除く。) クルーズ中の泊数が当該募集型企画旅行の日程中の宿泊数(航空機内のものを除く。)の50%以上のもの 当該期間に対応するクルーズの取消料収受期間の区分に適用される取消料率の2分の1に相当する率以内
クルーズ中の泊数が当該募集型企画旅行の日程中の宿泊数の50%未満のもの 当該期間に対応するクルーズの取消料収受期間の区分に適用される取消料率の4分の1に相当する率以内
旅行開始後の解除または無連絡不参加の場合 旅行代金の100%以内

少しわかりにくいので、もう少しかみ砕いて説明をします。
下記に、募集型企画旅行に組み込まれたクルーズ船の取消料規定を例示します。

募集型企画旅行に組み込まれたクルーズの取消料規定
解除の時期 取消料額
クルーズ開始日の 48日~34日前 クルーズ代金の 25%
33日~18日前 50%
17日~10日前 75%
9日前以降 100%

このようなクルーズ船の取消料規定があったとすると、旅行業者が収受できる取消料の規定は以下のようになります。

クルーズ船での泊数が全日程の泊数の50%以上
旅行契約解除の時期 取消料額
旅行開始日の 48日~34日前 旅行代金の 12.5%以内
33日~18日前 25.0%以内
17日~10日前 37.5%以内
9日前以降 50.0%以内
旅行開始後の解除又は
無連絡不参加の場合
100.0%以内
クルーズ船での泊数が全日程の泊数の50%未満
旅行契約解除の時期 取消料額
旅行開始日の 48日~34日前 旅行代金の 6.25%以内
33日~18日前 12.50%以内
17日~10日前 18.75%以内
9日前以降 25.00%以内
旅行開始後の解除又は
無連絡不参加の場合
100.00%以内

受注型企画旅行の取消料

募集型企画旅行と同じように、旅行日程中に3泊以上のクルーズ日程を含んでいる場合、下記の表の取消料を収受することができるようになります。
ただし、日本からの出国時と日本への帰国時にどちらも船舶を利用するものについては、適用対象外となります。

旅行日程中に3泊以上のクルーズ日程を含む受注型企画旅行契約
下記に掲げる場合以外(旅行会社が契約書面において企画料金の金額を明示した場合に限る。) 企画料金に相当する金額
日程に含まれるクルーズに係る取消料規定の取消料収受期間の起算日であるクルーズ開始日を旅行開始日と読み替えた期間内に解除する場合(下記に掲げる場合を除く。) クルーズ中の泊数が当該受注型企画旅行の日程中の宿泊数(航空機内のものを除く。)の50%以上のもの 当該期間に対応するクルーズの取消料収受期間の区分に適用される取消料率の2分の1に相当する率以内
クルーズ中の泊数が当該受注型企画旅行の日程中の宿泊数の50%未満のもの 当該期間に対応するクルーズの取消料収受期間の区分に適用される取消料率の4分の1に相当する率以内
旅行開始後の解除または無連絡不参加の場合 旅行代金の100%以内

ほとんど募集型企画旅行の場合と同じような規定ですが、受注型企画旅行の場合は、契約書面に企画料金の金額を明示した場合には、旅行開始日まの取消料を回収できる期間より前の取消であっても、企画料金相当の取消料を収受することができるのが特徴的です。

具体的な例については、計算方法や考え方は募集型企画旅行の取消料を参考にしてください。

認可申請に必要な書類

  • 旅行業約款変更認可申請書
  • 旅行業約款(案)
  • 旅行業約款変更対照表
  • フライ&クルーズ旅行に係る計画書
  • 「キャンセル保険」に関する資料

旅行会社が損害保険代理店としてキャンセル保険を販売する場合

旅行会社が保険代理店として保険販売する場合のキャンセル保険に関する資料は下記のとおりです。
提出する登録行政庁によって多少異なることがあるため、事前に確認することをオススメします。

  • 損害保険代理店委託契約書の写し
  • キャンセル保険つきの海外旅行保険の取扱開始日についての確認書面
    ⇒ここまでは約款認可申請時に提出
  • キャンセル保険つきの海外旅行保険のパンフレット・申込書
    変更後の約款の適用開始前(旅行の販売開始前)に提出

ただし、現実問題として、新規で小規模な旅行会社が保険代理店契約を結ぶことはほぼ不可能であるため、次のパターンで手続きを進めていくことになるかと思います。

旅行会社がキャンセル保険に加入する場合

保険会社に損害保険契約を引き受けてもらい、旅行会社がキャンセル保険に加入する場合の提出資料は下記のとおりです。
提出する登録行政庁によって多少異なることがあるため、事前に確認することをオススメします。

  • 保険会社が作成した保険の引き受けを証する書類(引受承認書等)
    約款認可申請時に提出
  • 保険証書の写し
    保険契約締結後、遅滞なく提出する

旅行業約款認可申請の流れ

申請先

旅行業約款の変更認可申請先は、第1種旅行業者は主たる営業所を管轄する地方運輸局です。
第2種旅行業者、第3種旅行業者は各都道府県に申請します。
地域限定旅行業者については、海外旅行を実施することができないため、フライ&クルーズ約款の対象外となります。

申請から認可約款の運用までの流れ

書類の作成と保険契約の準備

申請先へ書類申請

審査処理(標準処理期間:60日)

認可

キャンセル保険の取扱開始、追加書類提出

認可約款の適用開始(旅行商品の販売)

旅行業約款の認可申請は、標準的な処理期間は60日となっております。
しかし、フライ&クルーズ約款のようなプリセット型約款であれば、早ければ2週間程度で認可されることもあります。

フライ&クルーズ約款のまとめ

保険代理店契約か、自社で保険契約を結ぶ必要がある

海外で3泊以上の宿泊をするクルーズ商品のみが対象

行政書士TLA観光法務オフィスでは、旅行業約款の個別認可申請のサポートをしております。
書類作成だけでなく、保険契約の締結や、約款適用開始後の案内書面の整備等、実は手続は多岐にわたります。
自社でも頑張ればできる内容ですが、もしご不安に思われたりサポートを受けてみたいと思って頂けましたら、お問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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