第1種旅行業の登録|必要な条件と手続

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第1種旅行業は旅行業の中でも王様と言える種別です。
海外の募集型企画旅行を含めた、あらゆる旅行業務取扱うことができます。
一方で、それだけ旅行者に与える影響も大きいことから、金銭的な条件というのはもっとも大きい負担となります。
国内の大手企業と言われるような旅行会社は、やはり第1種旅行業の登録をしているところが多いです。

この記事を読んで分かること

第1種旅行業の業務範囲

第1種旅行業の登録に必要な資金

その他登録に必要な条件や手続

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目次

業務範囲

第1種旅行業は、すべての旅行業務を行うことが可能です。
なお、他の旅行業者の企画旅行商品受託販売と、旅行相談、他の旅行業者からの依頼によるランドオペレーター業務についても当然行うことができます。

募集型企画旅行(海外) 募集型企画旅行(国内) 受注型企画旅行 手配旅行
第1種旅行業

基準資産額

基準資産額は、旅行業の登録をするために最低限必要な資産条件のことです。
現金化可能な資産がどれくらいあるのか、ということです。
基準資産額は旅行業の種別ごとに決められていて、第1種旅行業の場合は3000万円です。
第2種旅行業の基準資産額が700万円であることを考えると、いかに第1種旅行業の責任が重大であるか、お分かりいただけるかと思います。

設立直後の法人であれば、資本金ー営業保証金=3000万円以上になっていればOKです。
決算をしている会社は、貸借対照表の資産の部から創業費その他繰延資産、営業権や不良債権を控除して、負債の部の総額を控除して、さらに営業保証金額を引いた結果が3000万円以上になっていればOKです。
基準資産額の計算方法については別の記事で詳しく解説をしています。

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営業保証金

営業保証金は、旅行者保護を目的とした制度です。
旅行業者が営業にあたって一定の金額を国に供託し、旅行者はある旅行業者に債権がある場合は、供託金の中から弁済を受けることができる、という制度です。

第1種旅行業の営業保証金の最低限度額は、7000万円です。
この金額も、第2種旅行業が1100万円であることを考えると、圧倒的にその責任の大きさを窺えます。

第1種旅行業者については、旅行業法上の営業保証金制度とは別に、旅行業協会によるボンド保証制度というものもあります。
これは、旅行業協会を通じてボンド保証制度に加入し、追加で保証金を納めることで、弁済限度額をその分上乗せするという制度です。
例えば、7000万円の供託(※旅行業協会に加入している旅行会社の負担分は1200万円)をしている旅行会社がボンド保証制度にも加入をして、1000万円追加で納付していたとすると、旅行者に対する弁済限度額は8000万円になります。

営業保証金については別の記事で詳しく解説をしています。

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登録拒否事由に該当していない

旅行業には、一定の事項に当てはまってしまうと登録を拒否される仕組みがあります。
具体的には下記の項目に1つでも当てはまっていると、旅行業の登録はできません。

  1. 旅行業等の登録を取消されて、取消しの日から5年を経過していない
  2. 禁固以上の刑、旅行業法違反による罰金の刑に処せられ、執行が終わって5年を経過していない
  3. 暴力団員でなくなった日から5年経過していない
  4. 申請前5年以内に旅行業務等に関して不正な行為をした
  5. 未成年者の法定代理人が①~④と⑦に該当する
  6. 心身の故障により業務を適正に遂行することができないまたは破産手続開始の決定を受けて復権をしていない
  7. 法人の役員が①~④と⑥に該当する
  8. 暴力団員等がその事業活動を支配している
  9. 営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任すると認められない
  10. 基準資産額を満たさない

旅行業務取扱管理者

どの管理者を選任すればいいか?

旅行業者は、旅行業務を行う営業所には必ず旅行業務取扱管理者を選任しなければなりません。
旅行業務取扱管理者には①総合、②国内、③地域限定と3つの区分に分かれています。

旅行業務を行う営業所で、海外に関する旅行業務を取扱う場合は、必ず総合旅行業務取扱管理者の選任が必要です。
海外に関する旅行業務とは、海外募集型企画旅行、海外受注型企画旅行と海外手配旅行です。

一方で、第1種旅行業者であっても国内旅行しか取扱わない営業所であれば、総合管理者、国内管理者のどちらを選任しても問題ありません。

なお、旅行業務取扱管理者は営業所に最低1人の選任が必要ですが、旅行業務に従事する従業員が10人以上の営業所では、最低2人の選任が必要になるのでご注意ください。

登録拒否事由に該当しない

営業所に選任される旅行業務取扱管理者は、旅行業の登録拒否事由の①~⑥のいずれにも該当しないことが必要です。

第1種旅行業の登録手続

第1種旅行業の登録手続は、都道府県への手続とは少し異なります。
具体的には、下記のとおりです。

  1. 書類作成
  2. 旅行業協会への入会申請(入会する場合)
  3. 審査後、入会確認書の受領
  4. 観光庁への仮申請
  5. 観光庁のプレチェック
  6. 管轄運輸局への本申請
  7. 本審査(審査期間:約2ヶ月)
  8. 登録通知受領
  9. 登録免許税の納付
  10. 営業保証金の供託(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金の納付)
  11. 供託書の写しの提出(協会に入会する場合は弁済業務保証金分担金納付書の写し)

地方の事業者であっても、必ず一度は観光庁(東京都)に出向いて、プレチェックを受ける必要があります。
これが、第1種旅行業と他の登録種別との大きい違いです。

申請先

第1種旅行業登録の申請先は、主たる営業所のある住所を管轄する地方運輸局の企画部観光課です。
沖縄の場合は、沖縄総合事務局運輸部企画室が申請先となります。
主たる営業所が東京都の場合は、関東運輸局になります。
自社の主たる営業所を管轄する地方運輸局がどこになるのかは、各地方運輸局のウェブサイトでお確かめください。

なお、従たる営業所の数がどれだけ増えても、主たる営業所を変更せず、第1種旅行業である限り、申請先は変わりません。

必要書類(法人の場合)

第1種旅行業登録の新規申請に必要な書類は以下の通りです。

  1. 申請書
  2. 定款又は寄付行為
  3. 登記事項証明書
  4. 旅行業務に係る事業の計画
  5. 航空券発券に係る契約書の写し
  6. 海外手配業者等との契約書の写し
  7. 旅行業務に係る組織の概要
  8. 最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書
    ⇒設立後最初の決算が終了していない場合は、設立時の貸借対照表
  9. 公認会計士又は監査法人の財務監査を受けている場合はその監査証明書
    ⇒監査証明を受けていない場合は法人税の納税申告書の写しその他の資産および負債の明細を示す書類または最近の事業年度の貸借対照表及び損益計算書について、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人のいずれかの確認を受けたことを証する書面
  10. 欠格事由に該当しない旨の役員の宣誓書
  11. 選任予定の旅行業務取扱管理者の旅行業務取扱管理者試験合格証の写し
  12. 欠格事由に該当しない旨の管理者の宣誓書
  13. 管理者の履歴書
  14. 管理者が雇用予定の場合は、管理者の同意書
    ⇒他社から出向してくる場合は、同意書と出向契約書の写し
  15. 事故処理体制についての書類
  16. 旅行業約款
  17. 旅行業協会の入会確認書(旅行業協会に入会する場合)
  18. 登録免許税(登録後に9万円)

第1種旅行業まとめ

第1種旅行業についてまとめると、下記の表のとおりです。

海外募集型企画旅行 国内募集型企画旅行 受注型
企画旅行
手配旅行 基準資産額 営業保証金 登録行政庁
第1種
旅行業
3000万円 7000万円~ 地方運輸局

また、第1種旅行業登録の新規登録申請については、別の記事でも詳細解説をしているので、参考にしていただければ幸いです。

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行政書士TLA観光法務オフィスでは、第1種旅行業の登録手続サポートをしております。
特に第1種旅行業の登録手続は、観光庁と地方運輸局への2回の申請だけでなく、求められる書類の水準も厳しいです。
ぜひ一度は専門家のフィルターを通していただければ、申請から営業開始まで、スムーズに進めることができます。
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